小児歯科学雑誌
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通園障害児の歯科衛生管理
第2報 乳歯齲蝕罹患率の経年変化
武田 康男竹辺 千恵美野中 歩藤村 良子平野 洋子
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1997 年 35 巻 3 号 p. 393-400

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抄録

本研究の目的は経年的な齲蝕罹患率の変化に対する疾患重複数の影響,齲蝕罹患に関与する諸要因と重複数との関係を検索することである.その結果以下の結論が得られた.
1.初健診時の対象児は495名で,男児283名,女児212名,男女児合計の平均年齢は2歳1か月であった.2.重複数を基準に対象を4群に分類した.3.重症群(重複数4以上)は他群に比べて経年的に高いdf歯率を示した.4.重症群の56.8%にエナメル質形成不全が認められ,他の3群とは統計学的に有意な分布差を示した.5.重症群の前歯,臼歯ともに形成不全群はdf歯率の経年的増加が顕著であった.6.歯列空隙の有無に関して,重症群,第2群ともに空隙なし群のdf歯率が顕著で,df歯率の経年的な増加傾向は重症群に強く認められた.7.初健診時の歯垢付着度に関して,重症群は第2群との間に有意な分布差を認め,重症群の方が歯垢付着度が良好な結果を得た.8.初健診時の歯垢付着度の高い重症群は第2群に比較してdf歯率の増加が顕著であった.9.初健診時の齲蝕活動性別のdf歯率の経年変化に関して,重症群のdf歯率の増加が顕著であった.10.小窩裂溝填塞処置歯率は第1群が高く,以下重複数が増えるに従って処置歯率は減少した.重症群は全年齢,処置歯率が最も低かった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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