小児歯科学雑誌
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4-META/MMA-TBBレジンによる直接歯髄覆罩後の歯髄の病理組織学的変化(第1報)
細矢 由美子一瀬 暢宏井上 孝福本 敏後藤 讓治
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1997 年 35 巻 3 号 p. 401-409

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抄録

成犬の前歯と前臼歯53歯を露髄させ,直接歯髄覆罩材(剤)としてオルソマイトスーパーボンド®を用いた場合(SB群)と対照としてカルビタール®を用いた場合(CV群)について,14日例と30日例の歯髄の病理組織学的変化を観察した.
1)創面下の歯髄に好中球やリンパ球などの炎症性細胞浸潤が観察された症例は,SB群では14日例が4例(23.5%),30日例が8例(57.1%)であり,CV群では14日例が5例(38.5%),30日例が2例(22.2%)であった.
2)歯髄の一部壊死がSB群30日例の2例(14.3%)に,歯髄の全部壊死がCV群14日例の2例(15.4%)とCV群30日例の2例(22.2%)にみられた.
3)残存歯髄の出血および血管拡張などの循環障害は,SB群では14日例の10例(58.8%)と30日例の6例(42.9%),CV群では14日例の6例(46.2%)と30日例の4例(44.4%)にみられた.
4)マクロファージの出現は,SB群では14日例の8例(47.1%)と30日例の10例(71.4%)に,CV群では14日例の7例(53.8%)と30日例の4例(44.4%)にみられた.
5)象牙質橋の形成は,SB群14日例の12例(70.6%),CV群14日例の1例(7.7%)とCV群30日例の3例(33.3%)に観察されたが,SB群30日例では皆無であった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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