小児歯科学雑誌
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萌出遅延歯に関する実態調査
兼子 周代望月 清志大多和 由美藥師寺 仁町田 幸雄
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1997 年 35 巻 4 号 p. 643-648

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抄録
平成元年4月から平成7年6月までの6年2か月間に永久歯の萌出遅延を主訴に東京歯科大学水道橋病院に来院した小児を対象に,萌出遅延歯の歯種別発現頻度,発現歯数別患児数および原因について調査を行った。
1.永久歯の萌出遅延を主訴に来院した小児の新患総数に対する割合は7.2%であり,性差は認められなかった。
2.萌出遅延歯の総数は93歯であった。歯種別発現頻度は,上顎では中切歯が最も多く,次いで犬歯,側切歯,小臼歯,第一大臼歯の順であった。下顎では第一大臼歯が最も多く,次いで犬歯,側切歯の順であった。
3.萌出遅延の原因は,上顎では歯胚の位置異常が最も多く,次いで強靭な歯齦の被覆によると思われるもの,過剰歯の存在,先行乳歯の晩期残存,先行乳歯の外傷,萌出余地不足,歯根形成程度の違い,濾胞性歯牙嚢砲,歯牙腫の存在であった。下顎では歯胚の位置異常および濾胞性歯牙嚢胞によるもののみで,他の原因は認められなかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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