抄録
本研究の目的は,小児を対象として睡眠時における筋電図記録において咀嚼筋活動量が睡眠姿勢の影響を受けるかどうかを予備的に検討することであった。そこで我々は,小児を対象に睡眠時を想定した姿勢での随意的噛みしめ動作の咀嚼筋活動量の変動を検討した。
被験者は乳歯列期小児5名および永久歯列期成人3名とした。規定動作は,座位,仰臥位および横臥位の睡眠を想定した姿勢において随意的な最大噛みしめを行うことであった。筋電図記録は側頭筋および咬筋として,筋放電量について検討した。
その結果,小児および成人群ともに姿勢の相違があっても咀嚼筋活動量が変化しないことが明らかになった。すなわち,小児では成人と同様に夜間睡眠時の咀嚼筋活動における姿勢の影響は少ないものと思われた。