小児歯科学雑誌
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小児における咀嚼の進行に伴う下顎運動の変化
中田 志保早崎 治明西嶋 憲博中田 稔
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キーワード: 小児, 咀嚼, 下顎運動
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1997 年 35 巻 5 号 p. 783-789

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抄録
小児における咀嚼の進行に伴う咀嚼運動の変化を評価するため,咀嚼ゼリーを被験食品とし,咀嚼経路と咀嚼リズムの経時的変化を成人と比較した。
被験者はHellmanのIIA期の小児6名(男児3名,女児3名:平均年齢5歳11か月)および成人7名(女性7名:平均年齢24歳2か月)とした。
被験運動は咀嚼ゼリーの咀嚼開始から嚥下に至るまでの自由咀嚼運動とし,解析点は切歯点とした。
解析項目として,咀嚼運動終末位の上下的座標値,上下的咀嚼幅,左右的咀嚼幅を咀嚼経路のパラメータとして用い,サイクル時間,開口時間,閉口時間を咀嚼リズムのパラメータとして用いた。咀嚼の進行に伴う変化をみるため,全咀嚼サイクル数を前期.中期・後期に分割して解析を行い,以下の結果を得た。
1)咀嚼運動終末位の上下的座標値は両群とも咀嚼の進行に伴い咬頭嵌合位に近づく傾向を示した。
2)上下的咀嚼幅は両群とも咀嚼の進行に伴い小さくなる傾向を示した。
3)左右的咀嚼幅は咀嚼の進行に伴い,成人群では小さくなる傾向を示したが,IIA群では一定の傾向を示さなかった。
4)咀嚼の進行に伴う咀嚼リズムの変化は成人群では認められなかったが,一方IIA群ではサイクル時間と閉口時間に変化があったものの,開口時間には変化が認められなかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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