小児歯科学雑誌
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最近の幼児の歯科疾患および摂食状況の実態について
― 東京都幼児基礎身体・栄養調査より―
市石 慶子北村 倫代益守 真木雄土肥 順尚菊池 元宏赤坂 守人
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1997 年 35 巻 5 号 p. 821-828

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抄録

平成6年11月に実施された「東京都幼児基礎身体栄養調査」の対象となった東京都内の保育園と幼稚園の各6園の3歳児から6歳児1,096名の調査結果をもとに,乳歯齲蝕罹患状況,歯列・咬合異常,「食べ方の状況」について,昭和62年に行われた同調査及び他の同種の調査報告と比較検討し,以下の結果を得た。
1)本調査のdf者率は増齢的増加傾向を示し,6歳児で89.2%で昭和62年同調査とほとんど変わらなかった。またdf歯数においては3,4歳の低年齢で本調査の方が減少する傾向が現れた。
2)甘味飲料を高頻度に摂取している者ほど齲蝕罹患率の高い傾向が現れた。
3)歯列・咬合異常の調査では,過蓋咬合,切端咬合,上顎前突が比較的多く認められ,昭和62年同調査と比較すると上顎前突,交叉咬合,過蓋咬合が増加し,反対咬合,切端咬合,開咬が減少した。
4)食べ方の調査では"食べ物を食べているとき,牛乳や飲み物を飲みたがりますか"の設問に対し"よくある"と回答した者が3歳児及び5歳児において半数以上に認められた。また,本調査では食べにくいものに対し"嫌がって食べない"とする者が昭和62年同調査に比べ多く認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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