小児歯科学雑誌
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2歳男児にみられた先天性歯原性線維腫の1例
片野 尚子小野 博志岡田 憲彦高木 裕三
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1998 年 36 巻 1 号 p. 133-137

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抄録

歯原性線維腫odontogenic fibromaは歯乳頭,歯小嚢,歯根膜などに由来するまれな線維腫であり,小児に関する報告はきわめて少ない。著者らは下顎臼歯部に先天性の歯原性線維腫をもつ2歳男児の症例を経験したので報告する。患児は2歳1か月で下顎左側第一乳臼歯の萌出遅延があり,同部位歯槽頂粘膜部に縦9mm,横5mm,高さ4mm大の有茎性の腫瘤を認めた。その被覆粘膜は,平滑で赤褐色,硬さは弾性硬であった。冷水痛,接触痛はなかった。また,この腫瘤は,生下時より既に存在し,これまでに増大傾向はなかった。エックス線所見では,腫瘤の中に石灰化物は認められなかった。局所麻酔下にて腫瘍および,その周辺粘膜を切除し,摘出物の病理組織検査を行った。その所見から周辺性歯原性線維腫であると診断した。術後,第一・第二乳臼歯は萌出を開始し,咬合は完成した。歯原性線維腫の発生由来を考える上で,先天性であり周辺性の本症例は,稀少かつ重要なものと思われた。さらに低年齢での発症においては,咬合管理の面からも長期の予後観察の必要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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