小児歯科学雑誌
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36 巻 , 1 号
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  • 日本小児歯科学会
    1998 年 36 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    現代小児の食に関する実態を明らかにする目的で,平成8年6,7月の2か月間に全国29大学附属病院小児歯科を訪れた3~15歳の小児4,212人を対象に調査分析を行った。
    その結果,日本人小児の食生活,生活環境の平均像は次のとおりであった。
    12歳まではほとんどの小児は毎日朝食を食べるが,13~15歳ではほぼ15%のものが欠食をすることがある。30~50%の小児はテレビを見ながら朝食をとり,朝食にかける時間は,3~5歳でも70~80%,13~15歳になると90%以上が20分以内である。こども達はスポーツクラブや習い事に忙しく,夕食は3~5歳でほぼ40%のものは5~6時頃に,ほぼ60%のものは7~8時頃にとるが,増齢とともに遅い時間になり,13~15歳では3%のものは9時以降に夕食をとり,12%のものは夕食時間が決まっていない。12歳まではほとんどのこども達は家族とともに夕食をとるが,13~15歳ではほぼ30%のものが毎日は家族とともに食べない。夕食を家族とおしゃべりしながら食べるものは3~5歳ではほぼ55%であるが,増齢とともに減少し,それにかわってテレビを見ながら夕食をとるものが増える。夕食にかける時間は12歳まではほぼ45%のものが30~40分,30~35%のものが20~30分であるが増齢とともに短くなり,13~15歳では35%のものが30~40分,37%のものが20~30分である。母親は夕食に8割以上は材料から手作りした料理を出している。
  • コ・デンタル委員会
    1998 年 36 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本小児歯科学会会員の歯科衛生士55名に,小児歯科とのかかわりやその業務内容,また,小児歯科学会に対する考えや要望など,アンケートにてその実態調査を行った。その結果,21名の回答から,次のような結論が得られた。
    1.個人的な問の中で,結婚後の仕事の継続について,半数の回答者が考えていないという答えであった。
    2.現在の勤務場所は,回答者の2/3が公的あるいは私的機関であった。また,1/3は開業医勤務であるが,ほとんどが小児歯科あるいは矯正歯科の専門医であった。
    3.業務内容は,回答者のほとんどが歯科保健指導を行っていた。また,開業医勤務者のほとんどは,フッ化物やシーラントなど,直接口腔内に手を下すような処置を行っていた。
    4.回答者の約48%が小児歯科学会での発表経験者であった。
    5.小児歯科学会への要望としては,会費の負担軽減,歯科衛生士の発表の場の設定,参加できるような環境作りなどであった。また,各会員の理想として,1口腔単位にとどまらず,幅広い知識を有し,小児を1個人として,それぞれのパーソナリティーを尊重する医療従事者を目指していた。
  • 秦 満, 張 祖燕, 牧 憲司, 森本 彰子, 村田 真知子, 葛 立宏, 木村 光孝
    1998 年 36 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    虚弱骨における食餌療法に関するCa,Pの定量分析およびエックス線学的骨塩量を調べるのが本研究の目的である。そこで,離乳期にある生後3週齢のWistar系雄ラットを用い,低カルシウム食およびカルシウム欠乏食を3週間与えて,骨虚弱状態を惹起された後,標準食,混合食Iおよび混合食IIそれぞれに切り換え3週間飼育した。虚弱骨に対する食餌の影響をエックス線マイクロアナライザーによるCa/Pの分析と骨塩量を検索し,次のような結果を得た。
    1.実験群(II群)にカルシウム欠乏食群間および低カルシウム食群問にはエックス線マイクロアナライザーによるCa/Pの定量分析と骨塩量の値は,混合食I群>標準食群>混合食II群の順に高値を示した。このことは,カルシウム含有したバランスのとれた混合食I(牛骨粉と標準飼料,1:2混合飼料)が骨虚弱状態の回復では最も良い結果を得た。
    2.実験群(II群)と対照群(I群)比較して,実験群においてカルシウム欠乏食群および低カルシウム食群の値は対照群に相当する群より,高値を示した。骨粗鬆症を惹起したラットはカルシウム投与後,骨虚弱状態はそれぞれの改善が認められた。
    3.実験群は対照群の標準食群に比べ,全て低値を示した。これから,幼年期のラットは骨虚弱状態に陥るとすべて正常に回復することが困難であることが考えられる。
  • 秦 満, 張 祖燕, 牧 憲司, 森本 彰子, 村田 真知子, 葛 立宏, 木村 光孝
    1998 年 36 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は虚弱骨に対して標準食と活性型ビタミンD3の併用療法を行い,Ca,Pの定量分析およびエックス線学的骨塩量を調べるのが目的である。離乳期にある生後3週齢のWistar系雄ラットを用い,カルシウム欠乏食および低カルシウム食を3週間与えて,標準食,標準食・活性型ビタミンD3に切り換え,虚弱骨に対する食餌の影響をエックス線マイクロアナライザーによるCa/Pの分析と骨塩量について検索し,次の結果を得た。
    1.エックス線マイクロアナライザーによるCa,Pの分析について,Ca,Pはカルシウム欠乏群および低カルシウム群の間では,標準食を単独に投与した群に比べ,標準食・活性型ビタミンD3群が高値を示した(P<0.05)。すべての群間で,対照群が最も高値を示した(P<0.01,P<0.05)。さらにCa,Pの対照群と比較した相対Ca量比および相対P量比を求めた。相対Ca量比は対照群> 低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群> 低カルシウム・標準食群> カルシウム欠乏・標準食・活性型ビタミンD3群> カルシウム欠乏・標準食群の順であった。相対P量比は逆の順であった。
    2.骨塩量について,すべての群間で,対照群が最高値を示した(P<0.01,P<0.05)。低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群と低カルシウム・標準食群の間に有意差が認められ,低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群が高値を示した(p<0.05)。カルシウム欠乏・標準食・活性型ビタミンD3群とカルシウム欠乏・標準食群の間には有意差が認められなかった。
  • 簡 妙蓉, 石川 隆義, 長坂 信夫
    1998 年 36 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    よりよい環境で歯科医療に従事するために,歯科医師側におけるストレスをテーマにした研究が必要である。小児歯科臨床において,術者と患児とのコミュニケーションは極めて重要であるが,我々が今後働いていくうえで小児から受ける心理的ストレスを検討することは有用である。そこで今回,小児歯科診療において小児が術者に及ぼす心理的ストレスと術者の状態・特性不安の面から,心理的ストレス得点と不安得点がどのような関連性をもっているかについて検討を行い,以下の結果を得た。
    1.状態不安,特性不安の両尺度間には有意な相関が認められ,状態,特性不安は互いに関与していることが認められた。
    2.歯科診療における小児が術者に及ぼす術者の心理的ストレス得点は,術者の不安得点と有意な関連性が認められた。その時,その場での不安状態を示す状態不安とその人が持っている本来の性格特性である特性不安の両不安において,心理的ストレス得点の高い人は,不安得点も高いという正の相関が認められた。
    3.心理的ストレス反応尺度における各項目の検討は,状態不安は6項目,特性不安では10項目,高不安群と低不安群において心理的ストレス得点に有意差が認められた。
    4.小児が術者に与える心理的ストレス得点における性差,歯科医師の年齢,歯科臨床経験,既婚か未婚かの4つの項目について検討した結果,全ての項目において有意差は認められなかった。以上のことより,歯科診療における術者の心理的ストレス得点は,その人の不安傾向と関連性があることが示された。
  • 簡 妙蓉, 石川 隆義, 長坂 信夫
    1998 年 36 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,歯科医師側における術者の心理的ストレスについて検討を行ってきた。小児から受ける術者の心理的ストレス得点の高低は,術者の性別,年齢,臨床経験などの一般的事項の項目とは統計学的な関連性が無く,むしろ術者自身の内的なパーソナリティーによる影響が大きいと考えられる。そこで今回,小児歯科診療における小児から受ける術者の心理的ストレスと術者の性格特性がどのような関連性をもっているかについて検討を行い,以下の結果を得た。
    1.類型別出現頻度の検討では,D類の安定積極型が最も多く,続いてC類,A類,B類,E類の順であった。
    2.情緒安定性(D,C,I,N),社会適応性(O,Co,Ag),向性(G,R,T,A,S)の3つの因子群から検討した結果,向性を測定する尺度と5%レベルの危険率で有意な相関が認められた。情緒安定性と社会適応性を測定する尺度とは有意な相関は認められなかった。
    3.YG性格検査における尺度レベルの判定は,性格因子の12尺度の中で,劣等感を測定する尺度においては1%,一般的活動性,支配性を測定する2尺度においては5%,術者の心理的ストレス得点との間で有意な相関が認められた。その他の9尺度においては,有意な相関が認められなかった。以上のことより,小児歯科診療における小児が術者に及ぼす心理的ストレス得点は,YG性格検査による術者自信における劣等感尺度と最も関連性があることが示された。また,小児歯科診療における術者の性格特性において,術者の心理的ストレス得点の高低は性格の内向,外向を測定する向性と関連があることが示された。
  • 竹本 弘子, 石川 隆義, 長坂 信夫
    1998 年 36 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    心身ともに小児から大人へと変化していく過渡期にあたる思春期の若者に対し,抑うつ度と歯科的認識・行動との関連性,特に歯科に対する信頼感との関連についてアンケート調査を行い検討した。対象は,広島市内の某進学塾に通う高校生490人(平均年齢16歳4か月)で,アンケートは,Self-Rating DepressionScale(SDS)の日本語版である自己評価式抑うつ尺度と,歯科的認識・行動に関する質問表,そして歯科診療に対する信頼度調査表から構成される。結果は以下の通りである。
    1.SDSの平均得点は男子が43.4,女子が44.3,全体で43.9であった。また「不満足」「空虚」「憂うつ・抑うつ」は思春期の抑うつ度を特徴づけていることが認められた。
    2.抑うつ度と歯科診療に対する信頼感,口腔状態の自己評価,歯科不安,歯科恐怖の問には関連性が認められたが,歯科治療経験の有無の違いによる関連性は認められなかった。
    3.抑うつ度と歯科診療に対する信頼度の間には有意な相関が認められ,特に「焦燥」「精神運動性興奮」「自殺念慮」の項目に有意な相関が認められた。
    4.歯科診療に対する信頼度調査表の6領域のうち,「コミュニケーション」「環境・スタッフの対応」は抑うつ度と特に有意な相関が認められた。
  • 大串 香奈子, 西嶋 憲博, 早崎 治明, 居波 徹, 中田 稔
    1998 年 36 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小児の一般集団における咬合接触状態を客観的にとらえることである。そこで京都府下の保育園,小学校の集団歯科検診においてデンタルプレスケール®を用いて,咬合接触面積,咬合圧,咬合力の大きさ,咬合接触面数を求めた。また被験者の全員が正常歯列を有しているわけではないため,咬合力の左右差に関する指標を設定し,対称群と非対称群に分け,その両群における上記4項目についても比較を行った。
    その結果,全被験者別では,咬合接触面積は歯年齢の上昇とともに増加する傾向があり,咬合接触面数においては,IIIA期とIIIC期において増加する傾向があった。咬合圧はほぼ一定の値であったことから咬合力の大きさの増加は,咬合接触面積が歯年齢とともに増加したことが1つの要因であると考えられた。対称群,非対称群別では,非対称群は,咬合接触面積,咬合力の大きさ,咬合接触面数が対称群より20~30%少なくなっていた。咬合圧は両群間ともほぼ同じであったことから非対称群の咬合力の小さい原因は,咬合接触面積の減少によることが1つの要因であると考えられた。
  • 山邊 陽出代, 張 野, Lina M. Cardenas, 後藤 譲治
    1998 年 36 巻 1 号 p. 71-79
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    噴射切削装置には高圧空気が用いられ,軟組織に誤って噴射すると気腫を偶発する恐れがあり,ラバーダムによる口腔軟組織の保護が必要である。そこで今回,0.15~0.30mmの4種の厚径のラバーダムシートに,噴射切削装置の噴射距離,空気圧,粒子径の条件を種々組み合わせて噴射をし,ラバーダムシートの実体顕微鏡による観察および穿孔時間を求めて,軟組織の保護効果,さらにラバーダムシートに必要な条件等を検討した結果,軟組織保護に必要なラバーダムシートの厚径や,配慮すべき噴射条件等の基礎的なデータが得られた。
    1.ラバーダムシート厚径の上昇に伴い穿孔時間が延長し,厚径0.25mm以上のラバーダムシートでは穿孔するまでに20秒を超え,十分な時間を要した。
    2.噴射距離とラバーダムシート穿孔時間の相関性は,空気圧やラバーダムシート厚径が穿孔時間との問に有する相関性に比べ,最も低かった(r=0.81,p<0.01)。噴射距離の増加で穿孔時間は延長し,噴射距離2mmで23.5秒,7mmでは61.1秒に及んだ。また,ラバーダムシートの傷は距離の増加で拡大する傾向が認められた。
    3.空気圧は穿孔時間と最も高い相関性を示し(r=0.96,P<0.01),空気圧上昇に伴う穿孔時間の短縮を認めた。160psiでは9.8秒と著しく短い値を示し,高圧の使用には十分な注意が必要と思われた。
    4.酸化アルミナ微粒子の粒子径27μmでは,50μmより穿孔時間が有意に短かった(p<0.01)。5.ラバーダムシートの穿孔形状は星形や円形がみられた。
  • 宮田 太郎, 町田 幸雄
    1998 年 36 巻 1 号 p. 80-92
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼児期から青年期にいたる歯列弓長径の成長発育について,永久歯列期に正常咬合となった同一小児28名(男児13名,女児15名)を対象に,2か月間隔に得られた累年模型を用いて,3歳6か月から20歳までの暦齢による観察と永久中切歯出齦時および第二乳臼歯脱落時を基準とした歯牙年齢による観察を行った。歯誌列弓全長径は,乳(永久)中切歯唇面最突出点から第二乳臼歯最遠心端まで,第二乳臼歯脱落後は永久中切歯唇面最突出点から第一大臼歯最近心端までの距離を計測した。
    乳歯列期における歯列弓全長径は,暦齢でみると上下顎ともに観察開始時から乳中切歯脱落時にあたる上顎では7歳2か月まで,下顎では6歳4か月まで漸次減少傾向を示したのに対して,永久中切歯出齦時を基準とした歯牙年齢でみると上顎は出齦1年前から,下顎は出齦6か月前から乳中切歯脱落時まで増加を示した。永久中切歯出齦後の歯列弓全長径は,暦齢でみると上顎は11歳頃まで,下顎は10歳頃まで緩やかな増加傾向を示し,その後減少へと転じた。歯牙年齢でみると,上顎は永久中切歯出齦6か月後まで,下顎は出2か月後まで著明な増加を示した。その後,第二乳臼歯脱落時を基準とした歯牙年齢でみると,上下顎齦ともに脱落時から脱落1年6か月後頃まで著明な減少を示した。その後,最終観察時まで緩やかな減少傾向を示しながらもほぼ安定した。
    男女別にみた歯列弓全長径は,いずれの時期においても有意差は認められなかった。
  • 米津 卓郎, 町田 幸雄
    1998 年 36 巻 1 号 p. 93-100
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京都国立市における1歳6か月児,2歳児,3歳児および5歳児歯科健康診査を全て受診した小児512名の中で吸指癖の経験あるいは継続中の小児131名を調査対象とし,継続時期および中止時期が咬合状態に及ぼす影響について,なんら口腔習癖を有さない小児192名を比較対象として検討したところ,以下の結論を得た。
    1.1歳6か月から5歳時まで吸指癖を有していた小児は2歳時において,開咬が50.0%,上顎前突が16.7%存在し,3歳時には開咬が40.5%,上顎前突が28.6%,5歳時には開咬が31.0%,上顎前突が16.7%存在した。
    2.1歳6か月から3歳まで吸指癖を有していたが,5歳時には消失していた小児の咬合状態は,3歳時において開咬と上顎前突がおのおの24.2%存在し,正常咬合は僅か39.4%であった。しかし,5歳時には開咬と上顎前突がおのおの3.0%と顕著に減少し,正常咬合は69.7%と高率になっていた。
    3.以上の結果からすると,吸指癖の治療開始時期は3歳が適当と考えられる。
  • 小杉 誠司, 田口 洋
    1998 年 36 巻 1 号 p. 101-110
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列期小児の咀嚼運動中の閉口筋の反射性制御について明らかにする目的で,小児と成人を対象に,咬合する歯種を変化させタッピング運動中の閉口筋活動を調べた。その結果,咬合部位による閉口筋活動パターンの変化に加えて,成人と小児での違いも認められた。
    1.小児,成人ともに,全歯咬合時に比較して切歯部のみ咬合時では咬筋,側頭筋活動ともに減少がみられたが,臼歯部のみ咬合時では両筋ともに活動量が増加した。この結果は,成人に比し小児の方が明瞭に認められ,また結果のバラツキも小児の方が少なかった。
    2.小児の側頭筋活動が最大となったのは乳臼歯部のみ咬合時で,次いで全乳歯咬合時であり,乳切歯部が咬合に加わることで筋活動量が減少した。このことから,切歯部から側頭筋への反射性抑制の存在が示唆された。
    3.両筋の活動比率を調べると,切歯咬合では咬筋の方が,臼歯咬合では側頭筋の方がより大きく活動していた。さらに側頭筋前部よりも後部の方が咬筋との活動差が大きかった。この活動差もまた,小児の方がより明瞭に認められた。
    4.歯根膜顎反射によって顎運動は末梢性に調節されており,成人よりも小児の方が単純な神経調節機構であり,成人と小児での調節パターンの違いは,成長による各筋の走行差に起因したものであろうと推察された。
  • 田村 浩子, 森川 富昭, 西野 瑞穗, 郡 由紀子, 五十嵐 清治, 小口 春久, 甘利 英一, 野田 忠, 渡部 茂, 高木 裕三, 赤 ...
    1998 年 36 巻 1 号 p. 111-122
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児への負担が小さく,操作性が良く,測定値が正確で再現性の良い咬合機能検査および咀嚼機能検査を一般臨床検査として定着させるためには,それらの検査結果を評価するための基準値が必須であることから,デンタルプレスケール・オクルーザーシステムによる咬合機能検査およびグミゼリーによる咀嚼機能検査を,全国18大学附属病院小児歯科を訪れたDental Stage IIA期~IVA期の個性正常咬合を有する男児421人,女児450人,計871人を対象に実施し,それらの測定値について分析した。その結果,咬合機能検査については,デンタルプレスケール50H-Rを用い,2秒間最大咬合力で咬ませて測定して得た次の値が基準値になり得るとして提示された。咬合接触面積(mm2):IIA期9.2±7.3,IIC期9.9±5.9,IIIA期11.4±6.2,IIIB期10.0±5.5,IIIC期12.0±6.7,IVA期14.7±8.1。平均咬合圧(MPa):IIA期45.7±8.2,IIC期44.9±8.4,IIIA期46.9±6.6,IIIB期47.6±7.0,IIIC期47.1±7.2,IVA期46.0±7.2。咬合力(N):IIA期391.8±258.3,IIC期430.1±231.0,IIIA期520.0±252.2,IIIB期463.7±221.4,IIIC期548.9±263.6,IVA期651.4±312.7。IIA期および最大咬合圧については更に検討を要すると結論された。咀嚼機能検査については,本研究の結果得たDental Stage別,グミゼリーの硬さ別の咀嚼時間および咀嚼回数が基準値になり得るとして提示された。
  • 長島 滋, 清水 香奈子
    1998 年 36 巻 1 号 p. 123-127
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    初診来院患者がフッ化物に対してどのような意識を持っているのかを把握するために,(財)サンスター歯科保健振興財団附属千里歯科診療所に来院した35歳以下の初診患者184名に対して,フッ化物に対する意識調査を質問紙法にて調査した。その結果,以下の結論を得た。
    1.フッ素という言葉はよく知っており,悪い印象も少ない。
    2.フッ化物塗布後においても悪い印象は少ないものの,「よくわからない」と感じる患者が45.1%いた。
    3.フッ化物塗布希望者は,20.6%にすぎず,多くは「よくわからない」と答えた。
    以上から,初診時にはフッ化物の塗布を希望する患者は少ないものの,歯科医療従事者の指導によってはフッ化物を希望する患者も増えるであろうと考えられる。
  • 内藤 真理子, 瀬尾 令士, 西川 康博, 大久保 和之, 赤嶺 秀紀, 木村 光孝
    1998 年 36 巻 1 号 p. 128-132
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低位乳歯の発生頻度は1~10%と報告されており,日常の臨床において遭遇することも稀ではない。咀嚼機能や咬合発育に障害をもたらす症例においては,機能回復を図るとともに咬合発育を正しく誘導していく必要があり,症例に対する的確な処置および長期的な経過観察も含めた治療が重要となる。著者らは,下顎乳臼歯部に3歯の低位歯を認めた13歳10か月の男児の1症例に遭遇した。
    初診時の咬合発育は歯齢IIIBであり,下顎左側第二乳臼歯および下顎右側第一,第二乳臼歯は低位を示し,晩期残存状態を認めた。3歯の咬合面は,ともにほぼ平坦な状態を呈し,動揺は認められなかった。エックス線所見において,下顎右側第一乳臼歯には歯根吸収が認められたが,下顎両側第二乳臼歯の歯根吸収および歯根膜腔,歯槽硬線は不明瞭であった。
    低位歯の原因としては,抜去後の下顎左側第二乳臼歯の組織学的検索において骨性癒着を示す所見が認められ,また患児に箸を噛む習慣があったことから,断続的な外力によって骨性癒着が惹起された後,隣在歯の萌出によって相対的に低位となった可能性が示唆された。
    初診後,機能回復を図りながら段階的に3歯の抜歯を施行し,後継永久歯の萌出誘導を行った。以降,順調に後継永久歯の萌出および歯根形成が認められ,良好な経過をたどっている。
  • 片野 尚子, 小野 博志, 岡田 憲彦, 高木 裕三
    1998 年 36 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯原性線維腫odontogenic fibromaは歯乳頭,歯小嚢,歯根膜などに由来するまれな線維腫であり,小児に関する報告はきわめて少ない。著者らは下顎臼歯部に先天性の歯原性線維腫をもつ2歳男児の症例を経験したので報告する。患児は2歳1か月で下顎左側第一乳臼歯の萌出遅延があり,同部位歯槽頂粘膜部に縦9mm,横5mm,高さ4mm大の有茎性の腫瘤を認めた。その被覆粘膜は,平滑で赤褐色,硬さは弾性硬であった。冷水痛,接触痛はなかった。また,この腫瘤は,生下時より既に存在し,これまでに増大傾向はなかった。エックス線所見では,腫瘤の中に石灰化物は認められなかった。局所麻酔下にて腫瘍および,その周辺粘膜を切除し,摘出物の病理組織検査を行った。その所見から周辺性歯原性線維腫であると診断した。術後,第一・第二乳臼歯は萌出を開始し,咬合は完成した。歯原性線維腫の発生由来を考える上で,先天性であり周辺性の本症例は,稀少かつ重要なものと思われた。さらに低年齢での発症においては,咬合管理の面からも長期の予後観察の必要性が示唆された。
  • 大須賀 直人, 今野 喜美子, 林 于昉, 近藤 靖子, 宮沢 裕夫
    1998 年 36 巻 1 号 p. 138-143
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    矯正治療および永久歯の齲蝕治療のためのエックス線撮影により,偶然,下顎小臼歯部に埋伏過剰歯の発生を認めた兄妹間の2症例を経験し,以下の所見を得た。
    1.症例1(妹)は,11歳6か月時のエックス線写真において下顎左側第二小臼歯部のみに埋伏過剰歯が認められ,12歳3か月時に下顎右側第二小臼歯部にも埋伏過剰歯が認められた。
    2.症例2(兄)は,12歳7か月時のエックス線写真では異常は認められず,16歳1か月時に下顎左側第二小臼歯部に埋伏過剰歯が認められた。
    3.2症例をエックス線写真より判断すると,下顎小臼歯部の埋伏過剰歯の歯胚は11~12歳以降に発生したことが考えられた。
    4.今回の2症例は共に兄妹であることから,遺伝的要因が影響することも考えられた。
  • 秋山 明美, 八若 保孝, 原田 理恵, 長内 正数, 雨宮 璋, 小口 春久
    1998 年 36 巻 1 号 p. 144-153
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3歳1か月の男児の上顎乳中切歯部口蓋歯肉にみられた周囲歯肉と境界明瞭な有茎性腫瘤で,臨床的に先天性エプーリスと診断された症例について病理組織学的検索を行った。
    病理組織学的検索において,腫瘤の表層は重層扁平上皮により被覆されており,上皮下に主として長紡錘形の細胞と不規則に錯走している線維の増生が観察された。鍍銀染色では,走行性を有する比較的豊富な好銀線維が観察され,クリューバー・バレラ染色では腫瘍組織は青染し,さらに免疫組織化学的には,抗S-100蛋白陽性を示していた。以上のことから神経線維の割合が極めて多い腫瘤であることが判明し,先天性神経線維腫と診断された。これは,極めてまれな症例であった。
  • 竹葉 絵美, 木村 圭子, 本山 正治, 鈴木 祥子, 濱本 景子, 白數 慎也, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    1998 年 36 巻 1 号 p. 154-159
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,著者らは,上顎右側第二乳臼歯および第一大臼歯の萌出遅延を主訴として来院した8歳男児において歯牙腫の摘出および開窓,牽引処置を施し,その臨床経過について興味ある知見を得たので報告する。
    1.初診時口腔内診査により,上顎右側第二乳臼歯および上顎右側第一大臼歯の口腔内萌出は認められず,同部の歯肉は膨隆し,硬固物を触知した。下顎第一大臼歯の咬合による圧痕も認められた。また,オルソパントモグラムにて,上顎右側第二乳臼歯および第一大臼歯の完全埋伏が認められ,それらの咬合面付近にはエックス線不透過物が認められた。上顎右側第二乳臼歯の歯根は短く,後継永久歯の歯胚は認められなかった。また第一大臼歯の歯根形成も反対側同名歯と比較すると遅延していた。
    2.エックス線不透過物を摘出し,約2か月後,上顎右側第二乳臼歯の咬合面が露出してきたので,矯正用ブラケットを接着し,牽引装置を用いて口腔内に誘導した。
    3.牽引装置を装着してから約3か月後,保隙には十分なほど第二乳臼歯が萌出したので第一大臼歯相当部に開窓術を施した。
    4.牽引開始から約10か月後,第一大臼歯が萌出してきたため装置を除去した。
  • 八木 孝子, 大西 智之, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1998 年 36 巻 1 号 p. 160-164
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Bloch-Sulzberger症候群は色素失調症と呼ばれる特異な皮膚症状を主体とする症候群で,歯,眼および毛髪ならびに中枢神経系などの異常を伴う遺伝性が強いと考えられる疾患である。歯科的所見としては,乳歯および永久歯の先天欠如,形成不全,萌出遅延,栓状歯,双生歯,早期脱落ならびに歯列不正などが報告されている。今回,Bloch-Sulzberger症候群と診断された1例を経験したのでその全身および歯科的所見について報告する。
    患者は3歳9か月の女児で,出生時から下半身および腋下に紅斑を伴った膨疹を認め,本症と診断された。身体発育は暦年齢に比べ著しい遅れは認めず,歯年齢も暦年齢と相応していた。歯科的所見として,多数の乳.永久歯の先天欠如,形態異常,乳歯萌出遅延,歯列不正を認めた。皮膚症状,口腔内症状はともに両側性に認められたが,左側でより顕著であった。本症を有する患者の歯科的な対応としては,先天欠如,形成不全,萌出遅延などによる咀嚼障害,審実障害の改善を行い,齲蝕予防,口腔衛生指導も含めた継続的管理が必要と思われる。
  • 大塚 由美子, 小杉 誠司, 富沢 美恵子, 野田 忠, 米持 浩子, 朔 敬
    1998 年 36 巻 1 号 p. 165-172
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の埋伏,あるいは萌出遅延の発生頻度は永久歯に比較して低いといわれている1)。今回著者らは,歯冠の一部が口腔内に露出し,その後,萌出がみられなかった下顎左側第二乳臼歯の2例を経験したので報告する。
    1)患児は初診時4歳0か月及び6歳8か月の女児で,2例とも全身疾患はなく,家族歴,既往歴に異常は認められなかった。
    2)口腔内所見では,2例とも当該歯のみが歯冠の近心舌側咬頭の一部を口腔内に露出させていた。当該歯周囲歯肉に発赤,腫脹などの所見は認められなかった。
    3)エックス線写真所見では,症例1で当該歯は下顎左側第一乳臼歯歯頸部と同じ高さにあり,歯冠形態は下顎右側第二乳臼歯とほぼ同様であった。歯軸傾斜は認められず,歯根が完成していた。下顎左側第二小臼歯の歯胚は確認できず,下顎左側第一大臼歯は当該歯と同じ高さで遠心に存在していた。症例2で当該歯はやや遠心傾斜し,遠心辺縁隆線は近心傾斜したΓ6の近心面下部に入り込んでいた。当該歯の歯根は短く,その近心下部にΓ5の歯胚を確認した。
    4)治療は,症例1に対しては4歳1か月時に開窓し,術後1年5か月で萌出完了した。症例2に対しては6歳9か月時に開窓し,6の遠心移動と当該歯の牽引を行い,術後10か月時では挺出した上顎左側第二乳臼歯と接触するまでに萌出した。
    5)開窓した歯肉の病理組織診断は2例とも歯冠周囲粘液線維性過形成症であった。
  • 太田 紀子, 船越 禧征, 大谷 敬三, 山尾 雅朗, 大東 道治
    1998 年 36 巻 1 号 p. 173-178
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Klinefelter症候群は女性様乳房,小睾丸,無精子症,卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)が高値を示し,「少なくとも2つのX染色体と1つのY染色体をもつ男性性腺機能不全」と定義されている。今回,著者らは右室低形成,冠動脈瘻を伴った純型肺動脈閉鎖の先天性心疾患を合併し,Taurodontteethを有したKlinefelter症候群の1例を経験した。患児の頭部は前後径に短く,頭幅の広い短頭型を呈し,中顔面の劣成長がみられた。口腔内所見として萌出している全乳歯にエナメル質減形成を認め,エックス線写真から上顎右側第一乳臼歯,下顎右側第一,第二乳臼歯は高度のTaurodont teethが,上下顎左側第一,第二乳臼歯は中等度のTaurodont teethを呈していた。模型分析では個々の歯の歯冠近遠心幅径ならびに歯列弓の大きさは標準値に比較して大きかった。頭部エックス線規格写真分析では上顎骨の劣成長と下顎前突がみられた。
  • 1998 年 36 巻 1 号 p. 179-216
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/01/18
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