小児歯科学雑誌
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上顎前歯部歯槽堤に発生した先天性神経線維腫の1例
秋山 明美八若 保孝原田 理恵長内 正数雨宮 璋小口 春久
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1998 年 36 巻 1 号 p. 144-153

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抄録

3歳1か月の男児の上顎乳中切歯部口蓋歯肉にみられた周囲歯肉と境界明瞭な有茎性腫瘤で,臨床的に先天性エプーリスと診断された症例について病理組織学的検索を行った。
病理組織学的検索において,腫瘤の表層は重層扁平上皮により被覆されており,上皮下に主として長紡錘形の細胞と不規則に錯走している線維の増生が観察された。鍍銀染色では,走行性を有する比較的豊富な好銀線維が観察され,クリューバー・バレラ染色では腫瘍組織は青染し,さらに免疫組織化学的には,抗S-100蛋白陽性を示していた。以上のことから神経線維の割合が極めて多い腫瘤であることが判明し,先天性神経線維腫と診断された。これは,極めてまれな症例であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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