小児歯科学雑誌
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上顎右側第二乳臼歯および第一大臼歯の萌出障害をおこした複合性歯牙腫の1例
竹葉 絵美木村 圭子本山 正治鈴木 祥子濱本 景子白數 慎也嘉藤 幹夫大東 道治
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キーワード: 歯牙腫, 埋伏歯, 開窓牽引
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1998 年 36 巻 1 号 p. 154-159

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抄録

今回,著者らは,上顎右側第二乳臼歯および第一大臼歯の萌出遅延を主訴として来院した8歳男児において歯牙腫の摘出および開窓,牽引処置を施し,その臨床経過について興味ある知見を得たので報告する。
1.初診時口腔内診査により,上顎右側第二乳臼歯および上顎右側第一大臼歯の口腔内萌出は認められず,同部の歯肉は膨隆し,硬固物を触知した。下顎第一大臼歯の咬合による圧痕も認められた。また,オルソパントモグラムにて,上顎右側第二乳臼歯および第一大臼歯の完全埋伏が認められ,それらの咬合面付近にはエックス線不透過物が認められた。上顎右側第二乳臼歯の歯根は短く,後継永久歯の歯胚は認められなかった。また第一大臼歯の歯根形成も反対側同名歯と比較すると遅延していた。
2.エックス線不透過物を摘出し,約2か月後,上顎右側第二乳臼歯の咬合面が露出してきたので,矯正用ブラケットを接着し,牽引装置を用いて口腔内に誘導した。
3.牽引装置を装着してから約3か月後,保隙には十分なほど第二乳臼歯が萌出したので第一大臼歯相当部に開窓術を施した。
4.牽引開始から約10か月後,第一大臼歯が萌出してきたため装置を除去した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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