抄録
本研究は虚弱骨に対して標準食と活性型ビタミンD3の併用療法を行い,Ca,Pの定量分析およびエックス線学的骨塩量を調べるのが目的である。離乳期にある生後3週齢のWistar系雄ラットを用い,カルシウム欠乏食および低カルシウム食を3週間与えて,標準食,標準食・活性型ビタミンD3に切り換え,虚弱骨に対する食餌の影響をエックス線マイクロアナライザーによるCa/Pの分析と骨塩量について検索し,次の結果を得た。
1.エックス線マイクロアナライザーによるCa,Pの分析について,Ca,Pはカルシウム欠乏群および低カルシウム群の間では,標準食を単独に投与した群に比べ,標準食・活性型ビタミンD3群が高値を示した(P<0.05)。すべての群間で,対照群が最も高値を示した(P<0.01,P<0.05)。さらにCa,Pの対照群と比較した相対Ca量比および相対P量比を求めた。相対Ca量比は対照群> 低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群> 低カルシウム・標準食群> カルシウム欠乏・標準食・活性型ビタミンD3群> カルシウム欠乏・標準食群の順であった。相対P量比は逆の順であった。
2.骨塩量について,すべての群間で,対照群が最高値を示した(P<0.01,P<0.05)。低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群と低カルシウム・標準食群の間に有意差が認められ,低カルシウム・標準食・活性型ビタミンD3群が高値を示した(p<0.05)。カルシウム欠乏・標準食・活性型ビタミンD3群とカルシウム欠乏・標準食群の間には有意差が認められなかった。