抄録
骨粗鬆症に関して,学童期からの予防に対する認識と生活習慣の実態を把握する目的で,北九州市の大学に通学する健康な女子大学生48名を対象に,質問票による調査を実施した。設問は,学童期から現在に至るまでの食習慣,運動習慣および骨粗鬆症予防に関する本人および周囲の認識を問うものとした。そして,18歳までの生活習慣と本人および周囲の骨粗鬆症予防に関する認識について検討し,以下の結果を得た。
1)骨粗鬆症予防に関して,家族や教師からアドバイスを受けた経験を持つ学生は全体の54%であった。内容はカルシウム摂取に関するものが最も多く,全体の47%を占めた。
2)18歳までに骨粗鬆症に関するアドバイスを受けた学生は,小魚を毎日摂取する習慣を持っていたことが有意に示された。また,学童期から18歳まで,給食以外で乳・乳製品を毎日摂取する習慣を持つ傾向も同時に認められた。
3)18歳までに家庭でカルシウムを含む食品の摂取を薦められた経験を持たない学生は,レトルト食品を頻回に摂取する習慣を持つ傾向があったことが示された。
4)健康の維持増進に関する具体的な知識を与えることが食習慣の改善に有効である可能性が示唆された。