小児歯科学雑誌
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拡大装置を用いて埋伏上顎左側中切歯の咬合誘導を行った1例
白石 明子平澤 雅利木根淵 真知子阿部 真之介福島 理恵金井 三千代森 安弘戸田 智子時安 喜彦渡部 茂
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キーワード: 咬合誘導, 埋伏歯, 拡大装置
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1999 年 37 巻 1 号 p. 197-200

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抄録
クォードヘリックスは,上顎歯列弓の側方拡大および前方拡大を目的とする固定式拡大装置で緩徐拡大法と急速拡大法の中間的な作用を期待して使用される。ヘリカルループに弾力のかかった状態で装着されることにより歯列弓を側方に拡大する。またこのヘリカルループの調節方法により,正中口蓋縫合の開大による歯槽骨の拡大,アーム部による前歯の移動も可能である。今回我々は上顎左側中切歯の萌出余地不足により埋伏がみられた8歳男児に対して,3Dクォードヘリックスを用いて上顎歯列弓の側方拡大を行ったところ,十分な萌出余地を確保することができた。その後,直に開窓および牽引を行い,スムーズに誘導を行うことができた。現在咬合状態は良好に確保されている。本症例のような萌出余地不足が原因で生じた埋伏歯を牽引誘導する場合にクォードヘリックスを用いることは大変有効であると思われた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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