日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
孤立性上腸間膜動脈解離9例の臨床的検討
大目 祐介河本 和幸金城 昌克守本 芳典伊藤 雅小笠原 敬三
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 3 号 p. 648-653

詳細
抄録

孤立性上腸間膜動脈解離(以下SMA解離)は稀な疾患であり,治療法に関して一定の見解は得られていない.今回,われわれは1995年1月から2008年12月までの間に,孤立性上腸間膜動脈解離と診断した9症例の患者背景,発症様式,症状,治療法および転帰について検討した.
9例全例が男性で,平均年齢は56.8歳であった.8例は造影CT,1例はMRIにて診断した.8例に喫煙歴を認め,5例が高血圧の既往を持っていた.偽腔開存型解離が4例,偽腔閉鎖型が5例であった.全例が降圧療法,抗凝固療法,抗血小板療法などの保存的加療で良好な経過が得られている.
SMA解離は,多くの場合保存的治療が有効な予後良好な疾患である.ただし,偽腔開存型SMA解離症例は偽腔閉鎖型に比して,より慎重で長期的な経過観察が必要であると考えられた.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top