小児歯科学雑誌
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乳幼児用食品の物性試験システムの検討
-考案した試験システムと従来の試験方法との比較-
浅里 仁
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1999 年 37 巻 1 号 p. 69-82

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抄録

新しく開発した乳幼児食品用プランジャーと容器を用いた試験方法と従来の試験方法との比較を行うことにより,乳幼児用食品の物性試験システムの検討を行った。
物性試験は,クリープメーターにより行い,被験食品は,嚥下困難者用に開発された増粘食品を蒸留水に混和し,3段階に調整したものを使用した。試験は3種類のプランジャーと容器を用い,それらの組み合わせによって,6通りの試験方法とした。
結果は,最大応力,最大エネルギー,かたさ応力,付着性は今回用いたすべての試験方法で,粘度が上がるにつれ,粘度に対応して値が大きくなった。なかでも,乳幼児食品用プランジャーと容器の組み合わせで,最も値の差が顕著であった。凝集性は,3段階の粘度で値が一定になった試験方法はみられなかった。弾性率は,試験方法によって値に一定の傾向を示さなかった。粘性率は,乳幼児食品用プランジャーと容器を用いた試験方法のみが,3段階に調整した粘度に対応した値を示した。
以上の結果から,乳幼児の口腔の形態や機能を考慮して作製したプランジャーと容器を用いた乳幼児用食品の物性試験システムは,乳幼児の摂食機能に必要とされるかたさ,粘度,付着性といった多くの食品物性について,感度が高く,客観的に評価しやすい値を示すことがわかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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