小児歯科学雑誌
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各種研磨ペースト使用後の研磨基材の粒度分布ならびに粒子の形態変化について
伊藤 香織渋井 尚武鈴木 克政
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1999 年 37 巻 3 号 p. 500-509

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抄録
professional mechanical tooth cleaning(P.M.T.C.)に使用される研磨ペーストに含まれる研磨基材粒子の,研磨前後での粒度分布と形態の変化について,市販されている10種類の研磨ペーストをin vitroで検討した結果,次のようなことが明らかになった。
1)研磨基材としてケイソウ土を使用しているPP3では,研磨に使用するに従い,研磨基材の粒子が小さくなる傾向が他の研磨基材に比べて顕著に認められた。
2)プロフィペースト®RDA250,Mel-Rでも研磨基材の粒子が小さくなる傾向が認められたが,PP3に比較してわずかであった。
3)PP1,プロフィペースト®RDA170,120,40,NEO-PC,NEO-SC,Mel-RおよびMel-Fでは,研磨基材の粒度分布に大きな変化は認められなかった。
4)PP3は他の研磨ペーストに比べて,研磨基材粒子の鋭縁が認められず丸みを帯びていた。
5)PP3では研磨後には研磨基材の凝集塊が減少していた。
以上の結果により研磨基材としてケイソウ土を使用しているPP3は,研磨開始直後は大きな凝集塊によって,歯面に付着している不溶性沈着物を効果的に除去した後,凝集塊が経時的に崩壊して粒子径が小さくなり研磨面を大きく傷つけることなく清掃することができるのではないかと推測され,研磨ペースト中の研磨基材にはケイソウ土を使用した方が効果的である事が示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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