小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
37 巻 , 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 松村 誠士, 西村 美智子, 宮城 淳, 尾形 小霧, 壺内 智郎, 岡崎 好秀, 三宅 香, 平野 慶子, 板谷 千穂, 柚木 弘子, 中 ...
    1999 年 37 巻 3 号 p. 449-452
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科診療室の院内感染対策を考える上で,室内空気の汚染状態を調査することを目的とした。本研究では,計23日分,8時台から20時台までほぼ1時間おきに診療室内の浮遊細菌(気菌)数を吸引式サンプラーを用いて調べた。同時に,室内人数と患者数を調べ浮遊細菌数との関係を調べた。そして次のような結果を得た。
    1.気菌数は患者数と有意な相関性を示した(r=0.67,P<0.01,n=223)。また室内人数とも有意な相関性を示した(r=0.60,P<0.01,n=223)。
    2.気菌数は診療開始時より11時前後にかけて増加し,12時から13時にかけて減少した。午後は再び15時から16時にかけて増加した。気菌数の増減は室内人数の経時的な増減パターンと類似した。
    以上より,易感染性の患者や感染性疾患をもつ患者の治療は,本診療室では気菌数の少ない診療開始時もしくは,午後の一般診療開始前が好ましく,室内人数の多いときは,室内の換気など空気の清浄化をはかることが好ましいと考えられる。
  • 平間 雅博, 壼内 智郎, 吉田 登志子, 山根 秀文, 中村 隆子, 仲井 雪絵, 下野 勉
    1999 年 37 巻 3 号 p. 453-458
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    放射温度計は,サーモグラフ同様身体に非接触で,無侵襲,計測による身体的制限が少なく,さらに温度の計測と表示が同時に可能で,機動性に優れ,廉価である。今回の研究は,放射温度計を情動のモニターとして小児に応用する前段階として,成人へ応用し,その可能性を検討した。
    方法は,岡山大学歯学部小児歯科診療室において,25-48歳の男女20名の鼻尖部皮膚表面温度を安静時にサーモグラフと放射温度計を用い計測した。鼻尖部皮膚表面温度の変化幅(Range)と変動係数(CV)を放射温度計の実測値,および平滑化した値から算出し,サーモグラフによる計測値のRange,CVと比較した。また,実際の症例における各計測値の変化を検討した。結果は実測値では有意な差が現れたが,平滑化した値では有意差はみられなかった。放射温度計の値を平滑化することによって,臨床上使用可能な計測精度を導くことが可能であることが示唆された。歯科臨床において放射温度計を使用し,情動変化の生理学的指標である鼻尖部皮膚表面温度変化を捉えることが可能で,放射温度計の情動のモニターとしての,歯科場面への応用の可能性が示唆された。
  • 田中 浩二, 岡崎 好秀, 東 知宏, 宮城 淳, 中村 由貴子, 松村 誠土, 下野 勉
    1999 年 37 巻 3 号 p. 459-465
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科医院において定期健診中の3-4歳児のうち,すべての乳臼歯隣接面が健全であるもの62人を対象に,初回診査時の口腔内全体のカリオスタット®検査,乳臼歯部歯垢指数および乳臼歯隣接面カリオスタット検査と再診査時(4-6か月後)の乳臼歯隣接面齲蝕との関係を調査し,以下の結論を得た。
    1)初回診査時のカリオスタット値(口腔内全体)および乳臼歯部歯垢指数と再診査時の乳臼歯隣接面齲蝕の発症との間に,関係は認められなかった。
    2)初回診査時の乳臼歯隣接面カリオスタット値と再診査時の乳臼歯隣接面齲蝕発症との間に関係が認められ,隣接面カリオスタット値2.0以上の群において,乳臼歯隣接面齲蝕を発症した者の割合が多かった。以上より,隣接面カリオスタット検査は,乳臼歯隣接面齲蝕の予測性を有していることが示唆された。
  • 棚瀬 精三, 尾辻 渉, 谷川 良謙, 近藤 俊, 安井 清子, 原田 洋, 龍崎 健栄, 田村 康夫
    1999 年 37 巻 3 号 p. 466-474
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    サイトカインレセプターからの細胞内シグナル伝達物質であるJak(janus kinase;ヤヌスキナーゼ)とSTAT(signal transducer and activator of transcdption)ファミリーのラットエナメル器における免疫組織化学的局在から,著者らは数多くのサイトカインレセプターとその細胞内シグナル伝達が,初期エナメル質および象牙質の形成を誘導することを示唆してきた。そして,それらの観察結果からIL-6(インターロイキン-6)レセプターとIL-10(インターロイキン-10)レセプターが初期エナメル質・象牙質形成のエナメル器に局在し,歯形成における機能に関わるという仮説を立てた。本実験では,IL-6レセプターはIL-6レセプターαとgp130から構成されているため,それぞれの抗体と,IL-10レセプター抗体を用いて,免疫組織化学法(ABC法)により,5日齢ラットの第一臼歯における局在を観察し,以下の結論を得た。
    1)IL-6レセプターαとgp130は内エナメル上皮(未分化エナメル芽細胞),分化期・分泌期エナメル芽細胞の近心端,中間層細胞,分化中象牙芽細胞,象牙芽細胞と骨周囲部に局在が見られた。
    2)IL-10レセプターは,内エナメル上皮(未分化エナメル芽細胞),分化期・分泌期エナメル芽細胞の近心端,中間層細胞,分化中象牙芽細胞,象牙芽細胞と骨周囲部に局在が見られた。
    3)これらの所見から,IL-6レセプターとIL-10レセプターとそれらの細胞内へ伝達するシグナルは,エナメル器の特異的な細胞に局在し,初期エナメル質および象牙質形成を誘導することが考えられた。
  • 舛元 康浩, 森主 宜延, 小椋 正, 永田 めぐみ, 山崎 要一, 峰松 清仁, 藤瀬 多佳子, 早崎 治明, 中田 稔, 熊坂 純雄, ...
    1999 年 37 巻 3 号 p. 475-481
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咬合機能の発達過程を解明する共同研究の一環として,六大学の小児歯科が協力し,下顎第一大臼歯の萌出早期から萌出終了に至る間の経年的な咬合接触状態と咬合による物理的な力の推移に関して,デンタルプレスケールを使用し,6か月毎に計4回の資料を採取し分析し,以下の結論を得た。
    1.歯単位で評価した場合,第一大臼歯の咬合面積の推移について5群に分けられ一定した変化を示さなかった。また,この経時的変化を咬合面積と平均圧力,咬合力,最大圧力それぞれとの関係を統計学的に検討した結果,すべてが有意水準P<0.05にて,有意な正の相関を示した。
    2.症例単位で評価した場合,左右第一大臼歯の咬合面積の推移関係は4群(並行分離型,途中交叉最後一致型,途中交叉最後不一致型,並行一致型)に大別された。最後不一致型について,左右バランスの観点から第二乳臼歯を考慮した場合,途中交叉最後不一致型では,最終的に第二乳臼歯の咬合面積により補償傾向が認められた。しかし並行分離型では第二乳臼歯の咬合面積を考慮しても不均衡な状況のままであった。最後一致型では,定性的にも定量的にも最終的にバランスが保たれていた。
  • 奥 猛志, 重田 浩樹, 福元 倫子, 石倉 行男, 福原 大子, 小椋 正
    1999 年 37 巻 3 号 p. 482-487
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    矯正治療と顎関節症症状との関連を検討することを目的に,マルチブラケット,チンキャップおよびFKOによる矯正治療を終了した患者に顎関節症症状のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。
    1.顎関節症症状の既往は,矯正患者全体では25%であり,一般若年者に対するアンケート結果と比較して大差はなかった。症状別では,雑音が20%,開口障害と疼痛は12%であった。
    2.矯正治療開始後に発現した顎関節症症状の60%は自然消失したと考えられた。また,「現在も顎関節症症状が継続中」と答えた者の中で,臨床診査により症状が確認されたのは22%であった。
  • 吉村 譲
    1999 年 37 巻 3 号 p. 488-499
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯根吸収の始まっていない乳歯抜歯創の治癒過程における血管の構築と新生骨梁の形成について明らかにすることを目的に本研究を行った。
    生後約1年で乳歯列期のカニクイザル7頭を用い,抜歯後1日,3日,5日,7日,14日,21日,42日経過した後,微細血管鋳型標本と光学顕微鏡標本を作製し観察を行った。
    抜歯後3日目で永久歯歯胚と接する部位で,抜歯窩内へ向かって歯胚側から既存血管網を通じて血液の補充があることが認められた。この歯胚側からの血液の流れは経時的に減少し,抜歯後7日目で永久歯歯胚と抜歯窩内でおのおの独立した血管網が形成された。また永久歯抜歯創の場合,一般的に抜歯窩の下層では骨梁の吸収による多孔化を,窩口部では骨梁の添加による緻密化を示すことが報告されているが,本実験の乳歯では,抜歯後42日目で窩口部を被覆する骨の緻密化は認められなかった。これは,抜歯による咬合圧の喪失に伴う骨改造というよりも,顎骨の成長と永久歯の萌出が大きく関与していることが考えられた。以上のことより,乳歯と永久歯の抜歯創の治癒過程には違いがあることが示唆された。
  • 伊藤 香織, 渋井 尚武, 鈴木 克政
    1999 年 37 巻 3 号 p. 500-509
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    professional mechanical tooth cleaning(P.M.T.C.)に使用される研磨ペーストに含まれる研磨基材粒子の,研磨前後での粒度分布と形態の変化について,市販されている10種類の研磨ペーストをin vitroで検討した結果,次のようなことが明らかになった。
    1)研磨基材としてケイソウ土を使用しているPP3では,研磨に使用するに従い,研磨基材の粒子が小さくなる傾向が他の研磨基材に比べて顕著に認められた。
    2)プロフィペースト®RDA250,Mel-Rでも研磨基材の粒子が小さくなる傾向が認められたが,PP3に比較してわずかであった。
    3)PP1,プロフィペースト®RDA170,120,40,NEO-PC,NEO-SC,Mel-RおよびMel-Fでは,研磨基材の粒度分布に大きな変化は認められなかった。
    4)PP3は他の研磨ペーストに比べて,研磨基材粒子の鋭縁が認められず丸みを帯びていた。
    5)PP3では研磨後には研磨基材の凝集塊が減少していた。
    以上の結果により研磨基材としてケイソウ土を使用しているPP3は,研磨開始直後は大きな凝集塊によって,歯面に付着している不溶性沈着物を効果的に除去した後,凝集塊が経時的に崩壊して粒子径が小さくなり研磨面を大きく傷つけることなく清掃することができるのではないかと推測され,研磨ペースト中の研磨基材にはケイソウ土を使用した方が効果的である事が示唆された。
  • 福元 倫子, 奥 猛志, 福原 大子, 重田 浩樹, 末永 重明, 小椋 正
    1999 年 37 巻 3 号 p. 510-516
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鹿児島大学歯学部小児歯科に顎関節症症状を主訴として来院した8歳から20歳までの男子20名,女子106名の計126名について,臨床症状とMRI所見との関係について評価した。
    MRIにて関節円板の前方転位が確認された症例は113名(89.7%)であり,joint effusionが確認された症例は51名(40.5%)であった。
    疼痛とMRI所見との関係については,復位を伴わない前方転位群は,正常群および復位を伴う前方転位群と比較して,顎関節部疼痛を認める頻度が有意(p<0.001)に高かった。
    また,joint effusion有り群は無し群と比較して,顎関節部疼痛を認める頻度が有意(P<0.001)に高かった。
    雑音とMRI所見との関係については,復位を伴う前方転位群は,正常群および復位を伴わない前方転位群と比較して,雑音を認める頻度が有意(p<0.001)に高く,復位を伴わない前方転位群は正常群と比較して雑音が有意(p<0.05)に多く認められた。
    joint effusionと関節円板動態との関係については,復位を伴わない前方転位群は,正常群および復位を伴う前方転位群と比較して,joint effusionが有意(p<0.001)に多く認められた。また,復位を伴う前方転位群は正常群と比較してjoint effusionを認める頻度が有意(p<0.05)に高かった。
  • 種市 良厚, 松井 大介, 下岡 正八
    1999 年 37 巻 3 号 p. 517-529
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は歯科治療時における女性歯科医師,歯科衛生士間の器具の受け渡しが,小児患者の視知覚にどのような影響を与えているかを知る目的で行った。仰臥位で治療椅子上にいる小児患者40名の視線を想定し,女性歯科医師と歯科衛生士がミラーとピンセットそれぞれの受け渡し動作を行っているテスト映像を作成,提示し,ビジコンアイカメラを用いて小児の眼球運動を測定,分析したところ,以下の結論を得た。
    1.初回停留点は,ミラー受け渡しでは,受け渡し動作に反応したものが計29名(725%),母親2名(5.0%),その他9名(22.5%)であった。ピンセット受け渡しでは,受け渡し動作に反応したものが計24名(60.0%),母親3名(7.5%),その他13名(32.5%)であった。
    2.停留点の停留回数は,ミラー受け渡しでは,受け渡し動作に反応したものが計428回(87.4%),母親2回(0.4%),その他60回(12.2%)であった。ピンセット受け渡しでは,受け渡し動作に反応したものが計493回(88.3%),母親11回(1.9%),その他55回(9.8%)であった。
    3.走査パターンは,ミラー受け渡しでは,受け渡し動作のみが33名(82.5%),受け渡し動作と母親が4名(10.0%),その他が3名(7.5%)であった。ピンセット受け渡しでは,受け渡し動作のみが29名(72.5%),母親が3名(7.5%),受け渡し動作と母親が7名(17.5%),その他が1名(2.5%)となった。
    4.ミラー受け渡しに37名(92.5%)が反応し,このうち女性歯科医師の「ミラー」という「話しかけ」に83.8%が反応した。ピンセット受け渡しに39名(975%)が反応し,このうち女性歯科医師の「ピンセット」という「話しかけ」に71.8%が反応した。以上より,小児患者は,女性歯科医師と歯科衛生士間の器具受け渡し動作に反応していることがわかった。
  • 椎名 和郎, 馬場 宏俊, 下岡 正八
    1999 年 37 巻 3 号 p. 530-538
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    母親が小児患者の顔をのぞき込むという奥行き方向の動きに対し,小児患者がどのような見方で空間認知をするのかを調べることを目的とし,治療椅子上で仰臥位でいる小児患者の顔をのぞき込むという母親の前後的な動きを想定し,それを表現するテスト映像を作製した。そしてビジコンアイカメラを用いて小児患者の眼球運動を測定し,分析,検討を行い以下の結論を得た。
    1.母親を走査した群(走査群とする)は31名(83.8%),母親を走査しなかった群(非走査群とする)は6名(16.2%)であった。
    2.走査群31名中母親以外にも走査した被験児は25名(80.6%)存在した。この25名の母親への平均停留回数は17.9回,平均停留時間は2980.6ms,母親以外への平均停留回数は6.2回,平均停留時間は918.6msであった。
    3.第1母親停留点は,母親がのぞき込む動きのときに現れた被験児が28名(90.3%),のぞき込んで止まった状態のときに現れた被験児が3名(9.7%)であった。
    4.走査パターンは,走査群が6種類で,非走査群は3種類であった。以上より,小児患者の視線は母親の接近運動に対して初期の接近する段階ですでに母親を多く走査していることがわかった。そして,奥行き知覚を必要とする母親がのぞき込む動きをとったとき,二次元の映像の中で三次元的実験モデルは有用であった。
  • 山口 雅史, 坂 英樹, 清水 泰
    1999 年 37 巻 3 号 p. 539-558
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の上顎骨は,内部が複雑な環境のため,骨構造に関する詳細な報告は少なく,形態的見地からこれを検討したものは数少ない。また,小児歯科学や歯科矯正学的見地からも,歯牙交換,歯槽の発育変化を含めた顎骨の内部構造を知ることは重要である。
    本研究は,乳歯列期から混合歯列期の小児上顎骨切歯部の萌出相の推移に伴う内部構造の経時的変化を解析することを目的として,骨梁構造ならびに緻密骨の観察および骨形態計測を行い,検討を加えたものである。
    その結果,骨梁密度,骨梁幅,Specific lengthは顎骨内に永久歯胚が存在する時期において高い値を示し,歯牙交換期において減少し,永久歯萌出後増加傾向を示した。骨梁の走行方向を割合で示した方向成分比は,乳歯列期から混合歯列前期では顎骨内の永久歯胚もしくは歯軸の方向に走行する骨梁の割合が多かった。永久歯萌出後,混合歯列後期にかけては,多方向に走行する骨梁の割合が増加し,走行方向は分散する傾向を示した。緻密骨の幅は,中切歯部では唇側口蓋側共に萌出相の推移とともに増加傾向を示した。側切歯部では,唇側は乳歯列期から混合歯列中期まで増加し,後期にかけて減少した。口蓋側は萌出相の推移とともに増加傾向を示した。
    小児上顎骨は,上顎骨自体の構造および発育と歯牙交換期における力学的環境変化が,骨梁構造ならびに緻密骨の幅に強く影響を与えていると考えられた。
  • 葉山 淑人, 杉村 和昭, 楊 静, 進士 久明, 内村 登
    1999 年 37 巻 3 号 p. 559-572
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咬合管理を行う上で,各個体の成長変化,とくに歯槽弓・歯列弓の変化を正確に把握することは極めて重要である。しかし乳歯列完成までの成長変化に関する報告は少なく,十分に解明されていない。そこで乳歯列完成期までの無歯期の歯槽弓および乳歯列期に至る歯列弓の成長変化を知ることを目的として本研究を行い,以下の結論を得た。
    1)歯列弓長径は,上顎においては終始緩やかに成長を示し,下顎では乳犬歯萌出開始後に大きく増加した。
    2)乳犬歯間幅径は,上顎では乳犬歯萌出開始期に増加し,下顎では第一乳臼歯萌出開始期に減少した。
    3)前方部および後方部歯列弓長径,最後方部幅径において,その成長の時期は男女児間で異なっていた。
    4)乳犬歯萌出前までの前方部における成長は,長径の成長が優位となり,その後幅径が増大する傾向を示した。
  • 長倉 朋美, 土肥 順尚, 荒木 啓伸, 高橋 康男, 駱 嘉鴻, 中島 一郎, 赤坂 守人
    1999 年 37 巻 3 号 p. 573-579
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咬合状態と咀嚼能力および咬合接触面積との関係を明らかにすることを目的にして,乳歯列の正常咬合,過蓋咬合,開咬および反対咬合を対象に,デンタルプレスケール®を用いて咬合接触面積を,チューインガム法により咀嚼能力値を求めた。咀嚼能力および咬合接触面積について正常咬合を対照にして比較検討を行った。また,各咬合状態別に咀嚼能力と咬合接触面積との相関関係について検討したところ,以下のような結論を得た。
    1)咀嚼能力値は,正常咬合と比較し過蓋咬合では有意な差がみられなかったが,開咬,反対咬合では正常咬合の約85%で,有意に低い値を示した。
    2)咬合接触面積は,開咬では正常咬合の72%で,有意に低い値を示し,他の歯列・咬合状態とは有意な差はみられなかった。
    3)乳歯列の歯列・咬合別の咀嚼能力と咬合接触面積との相関関係では,正常咬合,過蓋咬合および開咬において有意な正の相関がみられたが,反対咬合では有意な相関を示さなかった。
  • 岡本 篤剛, 早崎 治明, 山崎 要一, 中田 稔
    1999 年 37 巻 3 号 p. 580-589
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎歯列の滑走運動中の咬合接触状態を観察するため新たなシステムを開発し,その有用性を検討した。
    本システムの特徴は,三次元6自由度下顎運動データと歯列の三次元形態座標を同一座標系に変換し,運動データを用いて形態データの移動ができることである。これにより下顎運動中のあらゆる顎位における上下歯列形態の三次元的位置関係を再現することができた。
    各顎位における上下歯列の咬合接触は上下歯列咬合面間の対合距離が0.2mm以下の部位と評価し,接触面積を算出した。
    本システムを用いて,5歳6か月の男児について右側方滑走運動時の咬合状態をコンピュータグラフィックスにて表示した。さらに小児5名(男児3名,女児2名)について,側方滑走運動時の接触面積の観察を行った。全ての被験児は齲蝕のない正常乳歯列咬合を有する小児である。
    その結果,以下の結論を得た。
    1.コンピュータグラフィックスにより,乳歯列の側方滑走運動に伴う咬合面上の咬合接触の変化を視覚的にとらえることできた。
    2.乳歯列の側方滑走運動中の咬合接触面積を歯種別に定量することができた。
    3.乳歯列の側方滑走運動中に,作業側とともに非作業側の第二乳臼歯にも咬合接触が観察されたことより,小児の咬合接触の機能的な役割についてより詳細な検討が必要であると考えられた。以上より,小児における咬合機能を解析する上で新たに開発した本システムは有用であることが示された。
  • 南 貴洋, 奥野 麻也子, 高橋 亜緒郁, 瀧口 宮子, 松村 美依子, 祖父江 鎭雄
    1999 年 37 巻 3 号 p. 590-594
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    5か所の小児歯科専門の診療所で定期的に口腔衛生管理を受けている小児349名を対象として,齲蝕多発傾向者の定義に基づいて齲蝕多発傾向を有する者とそうでない者に分類し,口腔衛生管理を開始した時期とその後の齲蝕罹患状況について経年的に調査を行った。その結果,口腔衛生管理開始時に齲蝕多発傾向を有すると判定されたものであっても,永久歯萌出前に口腔衛生管理を開始することにより,永久歯における齲蝕発生を抑制できることが明らかとなり,早期のカリエスコントロールの重要性があらためて示唆された。
  • 河野 美砂子, 野田 忠
    1999 年 37 巻 3 号 p. 595-604
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎第一大臼歯萌出以前における第二乳臼歯の早期喪失時の保隙装置としてM型ループを用い,第一大臼歯の萌出までの観察を行い,次の結果を得た。
    1.予後が確認できた40症例のうち,第一大臼歯がM型ループに沿って萌出したもの34症例,M型ループより近心に萌出したもの6症例であった。
    2.第一大臼歯がM型ループに沿って萌出した症例のうち,抜歯前の第二乳臼歯遠心端が計測可能な研究用模型により萌出した第一大臼歯の近心端との位置を比較したところ,第一大臼歯は抜歯前の第二乳臼歯遠心端より平均1.41mm近心に位置していた。
    3.オブリークセファログラムを用いてM型ループの設定位置を確認したところ,ループの最下点は反対側第二乳臼歯遠心歯頸部の陥凹最下点付近に近似した位置に設定されていた。
    4.第二乳臼歯の早期喪失時の第一大臼歯の萌出以前における位置的変化は一様に近心移動するものばかりではなく様々で,その近心への移動量と観察期間には一定の関係はうかがえなかった。
    5.第一大臼歯がM型ループより近心に萌出したのは,M型ループの設定が不適切であったためと思われた。
    以上より,M型ループは,ループの設定を慎重に行い経過観察を確実に行えば,第二乳臼歯の早期喪失時の保隙装置として適用し得ると思われる。
  • 田中 浩二, 岡崎 好秀, 東 知宏, 久米 美佳, 壺内 智郎, 松村 誠土, 下野 勉
    1999 年 37 巻 3 号 p. 605-610
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕活動性試験カリオスタット®は,歯科臨床の場のみならず,地域歯科保健活動,学校歯科保健活動等において,あらゆる年齢の小児を対象として利用されている。カリオスタット検査を有効に利用するうえで,各年齢時におけるカリオスタット値と齲蝕罹患状態との関係を調査することは重要であると考えられる。そこで今回,1歳児から15歳児までの各年齢時における,カリオスタット値と齲蝕罹患状態との関係について分析・検討を行い,以下の結論を得た。
    1)幼児期から中学生期におけるカリオスタット検査の値は,各齲蝕歯数(df,df+DF,DF)と正の相関関係を認めた(1歳,9歳を除く)。
    2)カリオスタット検査の値を15以下,2.0以上の2群に分け一人平均齲蝕歯数を比較すると,2.0以上群の平均齲蝕歯数が有意に多かった(1歳,2歳,9歳,10歳を除く)。
    以上より,カリオスタット値は幼児期から児童・生徒期において齲蝕現症を反映しており,またカリオスタット値の15以下,2.0以上という群分けにより,効率的に齲蝕のスクリーニングが行えることが示された。しかしながら,低年齢児では齲蝕罹患が少ない影響を受け,また,側方歯群交換期の一時期においては齲蝕罹患乳臼歯の交換の影響を受け,齲蝕罹患状態とカリオスタット値との一定の関係が得られないことも同時に示唆された。
  • 坂口 也子, 太田 勲, 浅香 めぐみ, 菅原 美佳, 五十嵐 清治
    1999 年 37 巻 3 号 p. 611-619
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    呼吸周期および咀嚼周期に及ぼす鼻閉の影響を検討することを目的として,呼吸曲線と咬筋筋電図を同時に記録し,呼吸周期時間,咀嚼周期時間,呼吸数,相対呼吸量について分析を行った。被験者は鼻疾患や顎口腔系に異常が認められない成人9名とし,ノーズクリップを使用して人為的に閉塞した状態を鼻閉時とした。結果は以下の通りである。
    1.安静時においては呼吸周期時間に対して鼻閉の影響は認められなかったが,呼吸数と相対呼吸量には有意な減少がみられた(P<0.05,P<0.01)。安静時の呼吸数と呼吸周期時間の変動係数は正常時と鼻閉時で大きな差はみられなかったが,相対呼吸量の変動係数は鼻閉時で増大した。
    2.ガム・ピーナッツ咀嚼時では鼻閉時の呼吸数と相対呼吸量に有意な減少がみられ(p<0.05,p<0.01),呼吸周期時間と咀嚼周期時間には有意な延長が認められた(p<0.05,p<0.01)。ガム・ピーナッツ咀嚼時の鼻閉時の変動係数は,ガム咀嚼時の呼吸周期時間を除く全ての項目で正常時(非鼻閉時)より著しい増大を示した。
    以上より,鼻閉状態下でも咀嚼しながら呼吸するが,その呼吸は浅く,長く,不規則であることが明らかとなった。また,鼻閉は呼吸そのものに変化を及ぼすばかりではなく,咀嚼周期にも影響を及ぼすことが確認された。
  • 綿城 香, 石川 利栄子, 蓮井 義則, 山口 公子, 西野 瑞穂, 尾崎 和美, 松尾 敬志
    1999 年 37 巻 3 号 p. 620-625
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    エナメル質形成不全症とは,遺伝的因子によってエナメル質の形成過程が原発性に障害される一群の疾患をいう。本疾患の障害はエナメル質に限局し,全身的な異常は形態学的にも生化学的にも見出せない。ほとんど全ての歯のエナメル質に原発性に形成障害が生じ,その表現型は様々である。
    今回,エナメル質形成不全症の1例に遭遇し,その肉眼的,病理組織学的検索および家系調査より,以下のような知見を得た。
    1.乳歯全歯およびその後萌出した〓〓〓にエナメル質形成不全が認められた。
    2.研磨標本を用いたエックス線マイクロラジオグラムおよび病理組織検査,ならびにエックス線マイクロアナライザーによる分析の結果,エナメル質に限局的な形成不全が認められた。
    3.パノラマおよびデンタルエックス線写真において,正常歯のエックス線写真と比較して,エナメル質に相当する部位の厚さが極めて菲薄であった。
    4.以上の結果および家系調査の結果から,本症例はWitkopらの分類によるエナメル質形成不全症のaの3)Autosomal dominant rough hypoplasticと診断された。
  • 甲原 玄秋, 佐藤 研一
    1999 年 37 巻 3 号 p. 626-630
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳幼児においては,運動機能の未熟さ,あるいは生理的未熟さから転倒しやすく,その際口腔外傷を受けることがある。この度,幼児における口蓋粘膜損傷を3例経験した。
    第1症例は2歳2か月の男児で,笛で遊んでいたところ転倒した。笛により硬口蓋粘膜は25×35mmの範囲に剥離し,口蓋骨の露出をみた。このため,局所麻酔下で12針の縫合を施行し,21日後に抜糸でき良好な経過をとった。
    第2症例は2歳11か月の男児で,菜箸を口に入れ転倒し,軟口蓋にそれが刺入していたため,箸を抜去した。同部には鼻腔側に貫通する創が認められたため,局所麻酔下に2針縫合した。6日後に抜糸を行い経過良好である。
    第3症例は1歳男児で,じょうろの尖端を口に入れ転倒した。軟口蓋に直径15mmの半円形の裂創を生じ,口腔と鼻腔は交通していた。局所麻酔下に2針縫合し,16日後に抜糸を行い良好な経過をとった。
    幼児における緊急治療時に全身麻酔を使用することは1)乳児の気道確保の困難性,2)胃内に食物残渣があることを考慮すべきこと,3)短時間では全身状態の評価が行い難いことなどのため,ある程度の危険性を伴う。一方局所麻酔下での処置では乳児の体動のため縫合は困難であり,針の誤飲,破折などの危険性を伴う。以上両者に優劣は付け難いが,適切な対応をすれば局所麻酔下で処置できる症例は多く,その場合は術後管理にリスクは少ないと思われる。
  • 細矢 由美子, 山邊 陽出代, 井上 孝, 後藤 讓治
    1999 年 37 巻 3 号 p. 631-641
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    三姉妹のうちの長女と三女の2名が象牙質形成不全を伴うエナメル質形成不全症である症例について,12年間にわたる口腔管理を行った。初診時の年齢は,長女が7歳2か月,三女が2歳5か月であり,全身的には異常は認められなかった。長女は,初診時に〓〓〓が萌出しており,全体に黄色で,〓〓〓はC4であった。三女は,初診時に〓〓〓が萌出しており,全歯とも象牙質が露出し,黄褐色であり,象牙質面は滑沢であった。姉妹ともに永久歯のエナメル質は菲薄,粗〓であったが硬く,低形成の状態であった。全歯にわたり接触点は認められず歯間空隙が存在し,咬耗がみられた。乳歯および永久歯ともに,増齢に伴い歯髄腔が狭窄もしくは閉鎖した。病理組織所見として,姉妹ともに象牙細管の数が少なく,石灰化の不規則性が観察され,象牙質形成不全が認められた。治療は,萌出直後の全歯にグラスアイオノマー充填を行い,その後コンポジットレジン充填を行った。最終的には乳切歯はコンポジットレジン冠,乳犬歯と乳臼歯は既製金属冠,永久前歯はコンポジットレジン冠を経て硬質レジン被覆冠,永久臼歯は既製金属冠を経て全部鋳造冠で歯冠修復を行った。接着性歯冠修復材の歯質への接着性は低く,修復物の剥離や脱落が頻発した。父親が全歯にわたる重度の形成不全であったことより,本症例は常染色体優性遺伝の象牙質形成不全を伴うエナメル質形成不全症であると思われる。
  • 中尾 有里, 覚道 健治, 小出 武, 菊池 優子, 星野 茂, 白数 力也
    1999 年 37 巻 3 号 p. 642-648
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3D-CT(three-dimensional computed tomography)は,ヘリカルスキャンによってボリュームデータ採取可能となったコンピュータ断層撮影装置(以下CT装置とする)の普及に伴い,日常臨床の中に容易に利用されるようになってきた。これを利用することにより従来のエックス線写真だけでは観察できなかった立体的な位置関係を明確にすることができ,歯科領域においてもインプラント埋入術や顎変形症手術の術前検査に利用されている。今回著者らは,3D-CTが12歳男児の鎖骨頭蓋異骨症の多数の埋伏過剰歯の抜歯術に有用であったので報告する。
  • 1999 年 37 巻 3 号 p. 650
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top