抄録
咬合状態と咀嚼能力および咬合接触面積との関係を明らかにすることを目的にして,乳歯列の正常咬合,過蓋咬合,開咬および反対咬合を対象に,デンタルプレスケール®を用いて咬合接触面積を,チューインガム法により咀嚼能力値を求めた。咀嚼能力および咬合接触面積について正常咬合を対照にして比較検討を行った。また,各咬合状態別に咀嚼能力と咬合接触面積との相関関係について検討したところ,以下のような結論を得た。
1)咀嚼能力値は,正常咬合と比較し過蓋咬合では有意な差がみられなかったが,開咬,反対咬合では正常咬合の約85%で,有意に低い値を示した。
2)咬合接触面積は,開咬では正常咬合の72%で,有意に低い値を示し,他の歯列・咬合状態とは有意な差はみられなかった。
3)乳歯列の歯列・咬合別の咀嚼能力と咬合接触面積との相関関係では,正常咬合,過蓋咬合および開咬において有意な正の相関がみられたが,反対咬合では有意な相関を示さなかった。