小児歯科学雑誌
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船橋市における障害児の歯科診療実態並びにアンケート調査結果について
高橋 喜久雄飯島 美智子赤岩 けさ子羽場 千砂子兼元 妙子吉田 正一小柴 宏明谷口 和義藥師寺 仁
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1999 年 37 巻 5 号 p. 981-990

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抄録
過去5年間に船橋市さざんか歯科診療所を受診した障害児106名について実態調査を行った。また,併せて船橋市在住の障害児の保護者464名を対象に無記名方式のアンケート調査を行い,受診患者側の要望について検討した。
1.受診小児の年齢は3歳から18歳,平均7歳9か月であった。障害別分類では,精神遅滞が30.2%と最も多く,次いで自閉症27.4%,精神遅滞・自閉症合併例14.2%,Down症候群11.3%であった。
2.処置内容では,歯周治療(491歯),保存修復(432歯),小窩裂溝填塞(247歯)が多かった。
3.治療時の対応法としては,レストレイナー®の使用が55.7%を占めていた。また,受診小児の約1割は全身麻酔下の治療のため大学病院へ紹介されていた。
4.アンケートの回収率は56.9%であった。歯科受診の既往は80.7%にみられ,受診機関では一般歯科診療所が68.5%と最も多かった。
5.治療に関する情報の入手経路は,「障害を持つ仲間から」との回答が26.1%で最も多かった。一方,無回答および「入手経路がない」との回答が合わせて39.0%を占めていた。
6.歯科的な希望事項に関しては,「歯科健診(31.9%)」,「齲蝕治療(31.1%)」,「齲蝕予防処置(15.7%)」,「歯石除去(11.9%)」等が多く,障害児の保護者が齲蝕の治療だけでなく,口腔衛生全体に関心を持っていると考えられた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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