小児歯科学雑誌
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歯科における行動科学
-ストレス認知が鼻部皮膚表面温度に及ぼす影響-
平間 雅博
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2000 年 38 巻 1 号 p. 84-92

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抄録

成人の歯科診療に対する不安や恐怖は,小児期における医療従事者の心理学的配慮に欠けた対応により生じるものもあると報告されている。このような不安や恐怖をコントロールするため,診療中に患者のストレスを知ることは非常に有用である。今回の研究は心身の変化にとむ小児への研究の前段階として,成人(歯学部6年次生82名)を被験者とし,実験的ストレスを負荷した。方法は被験者に顔面皮膚温を計測することのみ知らせたのち,5分間の安静時間4回とその間に与える3つの刺激(統制刺激,中立言語,ストレス喚起言語)からなる実験を行ない,被験者の鼻部皮膚表面温度変化と主観的ストレスの訴えの関係から,被験者のストレス認知が鼻部皮膚表面温度に及ぼす影響を検討した。
結果より次の結論が得られた。
1.反応起点,初速度,温度幅を指標として用いることによって,鼻部皮膚表面温度は時系列データとして処理が可能であった。
2.ストレス認知をすると有意に鼻部皮膚表面温度に変化をもたらした。
3.ストレスレベルによる鼻部皮膚表面温度の反応開始時間の差は認められなかった。
4.ストレスレベルと鼻部皮膚表面温度変化の初速度に正の相関が認められた。
5.ストレスレベルと鼻部皮膚表面温度の変化幅に正の相関が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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