小児歯科学雑誌
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思春期ラットの虚弱下顎骨に対する食餌療法に関する研究
-形態計測および骨塩量による評価-
塚本 計昌西田 郁子牧 憲司森本 彰子西岡 孝浩内上堀 征人
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2000 年 38 巻 5 号 p. 941-952

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抄録

思春期におけるカルシウム摂取は骨粗鬆症の予防につながる重要な因子である。しかし,カルシウム摂取が骨にいかに影響を与えたかを,形態計測や骨塩量定量法によって検索した報告は極めて少ない。そこで,本研究は思春期に相当する生後8週齢のラットの下顎骨をカルシウム摂取不足により骨を虚弱化させた後,長期のカルシウムの補給により骨にいかに影響を与えたかを形態的計測およびエックス線学的骨塩量測定について検索し,次のような結果を得た。
1.体重
対照群および各実験群の間に有意差は認められなかった。
2.頭部側方エックス線規格写真
A.座標分析
筋突起部(Cr),関節突起部(Cd)および下顎角部(Go,Ag)で対照群と実験群の間に有意差が認められ,実験群が低値を示した。
B.実測長分析
関節突起高(Go-Cd)と筋突起高(Go-Cr)において,実験群と対照群との間に有意差が認められ,実験群が低値を示した。
C.面積
筋突起部において,実験群と対照群との間に有意差が認められ,実験群が低値を示した。
3.骨塩量測定
下顎角部,関節突起部および筋突起部の骨塩量を測定した結果,対照群と各実験群との間に有意差は認められなかった。
以上のことから,思春期に骨を虚弱化させ,その後長期にわたって食餌療法を行った場合,骨の質的変化といえる骨塩量に関しては十分に回復が見られたものの,骨の量的変化といえる骨形態の回復は困難であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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