小児歯科学雑誌
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乳臼歯における接着性コンポジットレジン充填に対する窩洞形態
野坂 久美子佐藤 輝子駿河 由利子阿部 英一濤岡 暁子
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2000 年 38 巻 5 号 p. 953-964

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抄録

接者性レジンに適した乳臼歯窩洞形態を検討するために,健全なヒト抜去乳臼歯を試料として,椀型とボックス型の1級窩洞を咬合面に形成し,接者性レジンを充填後,1万回のサーマルサイクルの施行の下に,窩縁からの微少漏洩とボンディング剤の厚さについて本研究を行った。なお,窩縁には,カーブの強いラウンドベベル(a)とゆるやかなもの(b)を付与した。これらを組み合わせて,I群-シングルボンド®+椀型+(a),II群-シングルボンド®+椀型+(b),III群-ライナーボンドII®+椀型+(b) ,IV群-ライナーボンドII®+ボックス型+(a)に分類して比較した。その結果,I,II群で,微少漏洩のみられないものが多く,とくにII群は,73.3%であった。また,漏洩は,窩縁部と窩底部のみに認められた。しかし,III,IV群では,全てに漏洩が認められた。また,III群では,2つの試料で,窩洞からのレジンの脱落がみられた。ボンディング剤の厚さは,I,II群では,象牙質から窩洞隅角部,窩底部に限局し,20μm前後であった。III,IV群では,窩縁部にもボンディング剤の層を認め,IV群は,III群の2倍弱の厚さであった。以上の結果から,接着性コンポジットレジンの乳臼歯応用には,ゆるやかな窩縁形態をもった椀型窩洞で,酸処理と流動性の良いボンディング剤の使用が,微少漏洩を減少させることが出来ると考えた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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