抄録
平成7年から12年までの6年間において,岩手医科大学小児歯科外来を訪れた患者(児)を対象に,肉眼的診査では,実質欠損を認めないが咬翼法エックス線撮影により齲蝕を認めた82人永久歯232歯について追跡調査した.また,深在性の隣接面齲蝕を有し,処置に至った患者(児)のうち,23人について,齲蝕活動試験,唾液検査,間食,口腔清掃状態,齲蝕経験歯数など深在性に至った背景について調査し,以下のような結果を得た.
1.歯種別症例歯数は,下顎第二小臼歯が最も多く,次いで上顎第二小臼歯,上下顎第一大臼歯の順であった.
2.隣接面辺縁部の着色を認めた年齢分布は9歳から18歳であり,最も多いのが14,15歳であった.
3.エナメル質1/2以内,または1/2以上の齲蝕歯は口腔管理下で経過観察をしたものが多かった.象牙質1/2以内の齲蝕歯では38.8%が最終的に経過観察となったが,象牙質1/2以上では全て処置に移行した.
4,隣接面齲蝕が小臼歯に多く認めた原因として,小臼歯の萌出時期が思春期に一致しており,この時期は,食生活を乱しやすい環境要因,また,歯列においては後方歯からの圧迫による隣在歯との接触圧の強さを増強することなどが挙げられる.今後は,隣接面のエナメル質齲蝕の処置に関する再検討,象牙質112以内の処置の有無に関する鑑別法,思春期の小児における隣接面齲蝕の予防法がさらに重要になるものと考えられる.