小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
X-linked hypophosphatemicマウス切歯におけるオステオカルシンの分布
小川 智弘大西 智之林原 哲之村上 裕朗阪下 卓大嶋 隆祖父江 鎭雄
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 39 巻 4 号 p. 839-845

詳細
抄録

本研究では,低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の疾患モデルマウスであるX-linked hypophosphatemicマウス(以下Hypマウスと略す)と野生型マウスの上顎切歯におけるオステオカルシン(以下OCと略す)の分布の違いを免疫組織学的に検索した.その結果,臼歯の歯冠部に相当する唇側部では,野生型マウスの象牙質及び象牙前質の一部にOC陽性反応を認めたものの,HypマウスではOC陽性反応をほとんど認めなかった.一方,臼歯の歯根部に相当する舌側部においては,野生型マウスでは象牙質及びセメント質に強いOC陽性反応を認めたのに対し,Hypマウスではセメント質には強いOC陽性反応を認めたものの象牙質では非常に弱かった.
以上の結果は,Hypマウスの象牙芽細胞ではオステオカルシンの分泌が障害されている可能性を示している.Hypマウスにおける象牙質石灰化不全は,低リン血症などの全身的要因によって引き起こされるという考え方が支配的であるが,今回の結果は,それ以外に局所的な因子も関与する可能性を示唆している.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top