今回,歯垢検体を郵送するカリオスタット法(以下カリオスタット郵送法と略す)を導入している岡山県牛窓町の乳幼児歯科健診において,齲蝕罹患のスクリーニングとして用いた本法の有効性について経年的に検討したので報告する.
対象は,平成元年6月から平成10年11月までの計9年5か月間のうち,1歳6か月,2歳,3歳児健診のすべてを受診し,かつ資料に不備のない245名(男児124名,女児121名)とした.
方法は,各健診時における口腔内検診結果とカリオスタット郵送法結果値との関係を分析し,カリオスタット郵送法の齲蝕罹患に対するスクリーニングの有効性について検討を行った.
1.1歳6か月時のカリオスタット郵送法結果値は,3歳時の一人平均齲蝕経験歯数との問に,2歳時および3歳時のカリオスタット郵送法結果値は,同時期および一年後の齲蝕罹患者率ならびに一人平均齲蝕経験歯数との問に統計的な関係が示された.
2.2歳時,3歳時でHigh riskであった児は,Low riskであった児に比較し,3歳時の齲蝕罹患者率および一人平均齲蝕経験歯数が,統計的に高いことが示された.以上より,カリオスタット郵送法は齲蝕罹患の現症と相関し,かつ予測性も有している事が示され,齲蝕活動性試験としての妥当性が示唆された.
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