小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
「親子で歯の健康教室」における歯科保健教育のとりくみ(第2報)
受講後の行動変容
二木 昌人井上 美佐子岩男 好恵柏木 伸一郎中田 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 40 巻 1 号 p. 132-139

詳細
抄録

「親子で歯の健康教室」は,福岡市健康づくりセンターにおいて,福岡市に在住する就学前の小児とその保護者を対象として,歯科健診,歯科相談および歯科保健指導,フッ化物歯面塗布を行っている事業であり,受講後のかかりつけ歯科医での継続管理を奨めている。第1報の実態調査では,受講者の歯科的バックグラウンドを中心に実態が明らかになり,受講者の年齢や受講目的,相談の内容などの情報も得られたことで,現在行っている事業内容の再評価ができ,今後の方針についてより明確化された。本報告では1007名の受講保護者に対して,受講後の歯科保健行動の変容を調べる目的でアンケート調査を行い,得られた348件の回答を集計した。
その結果,歯磨きの習慣化,食生活に関する配慮などのホームケアに関する項目の改善がみられた。また受講後は,フッ化物歯面塗布,定期健診,シーラントなどの目的で受講者の78.7%が歯科医院を受診しており,ほとんどは受講後6か月以内に受診していた。受診者のうち64.2%が小児歯科専門を受診しているが,処置・指導内容においては,一般・小児歯科標榜より小児歯科専門の方が定期健診の継続率が高いことを始めとして,より複数の方法を用いた積極的な齲蝕予防が計画されていることがうかがわれた。また,受講によって保護者自身の歯科保健行動にも改善がみられており,本事業での歯科保健教育が効果的で,かかりつけ歯科医院受診の窓口になっていることが明らかになった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top