抄録
幼稚園年長児(5・6歳児)173名を対象として,カリオスタットテスト(CAT21テスト)と唾液緩衝能テスト(CAT21Bufテスト)を行い,齲蝕罹患状態との関係について調査した。さらに,両試験法を組み合わせた場合の関係についても検討し,以下の結論を得た。
1.対象者の齲蝕罹患者率は64.2%,一人平均df歯数は3.69歯であった。
2.CAT21テストとCAT21 Bufテストは,df歯数との間に正の相関関係が認められた(P<0.05)。
3.CAT21テストとCAT21 Bufテストとの間には,相関関係がみられなかった。
4.CAT21テストの結果を低リスク群(1.5以下)と高リスク群(2.0以上)に分けたところ,一人平均df歯数には有意な差が認められた(ANOVA p<0.001)。
5.CAT21 Bufテストの結果を低リスク群(高緩衝能群,中緩衝能群)と高リスク群(低緩衝能群)に分けたところ,一人平均df歯数には有意な差が認められた(ANOVA p<0.05)。
6.CAT21テストとCAT21 Bufテストの結果を組み合わせたところ,それぞれの判定結果が悪くなるほどdf歯数も増加した(ANOVA p<0.01)。
以上のことから,幼稚園児において齲蝕活動性試験を単独で行うより,両者を組み合わせた方が,効果的に齲蝕罹患状態を把握することが可能であった。