小児歯科学雑誌
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ELマウスにおける第三臼歯欠如原因遺伝子のマウス染色体3番上へのマッピング
野村 玲子
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2002 年 40 巻 1 号 p. 54-63

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抄録

EL/Seaマウス(以下ELマウス)は性差無く97%の出現率で4本全ての第三臼歯が欠如している。このELマウスと歯数に異常のないMSM/Msfマウス(以下MSMマウス)との交配実験から,ELマウスにおける第三臼歯欠如は常染色体劣性遺伝であると報告されているが,歯の欠如の原因は未だ明らかにされていない。今回の実験の目的は,ELマウスにおける第三臼歯欠如の原因遺伝子の位置する染色体とその領域を見つけることである。このため全常染色体上に配置されたELとMSMマウス間とで多型を有する有益な50個以上のマーカーを用いて,第三臼歯欠如を有する10匹のF2 intercrossマウス[(EL×MSM)F1×F1]個々のインターバルマッピングを行った。マウス染色体3番上のマーカーであるD3Mit 141において,第三臼歯欠如の原因遺伝子との連鎖が強く示唆される値が得られたため,マウス染色体3番において詳細な連鎖解析を行った。この結果,ELマウスにおける第三臼歯欠如の原因遺伝子はD3 Mit 125からD3 Mit17にかけての領域,もしくはD3 Mit 141からD3 Mit 290にかけての領域に位置することが強く示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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