小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
小児期における下顎窩の形態変化
萩原 智子
著者情報
キーワード: 小児期, 下顎窩, CT, 顎関節症
ジャーナル フリー

2002 年 40 巻 1 号 p. 93-102

詳細
抄録

日本人における若年性顎関節症の増加が報告されているが,小児期における顎関節を構成する軟組織や骨性構成体の関与については解明がなされていない。一方,小児期の顎関節骨性構成体の計測に関する研究は散見されるが,資料採得の困難さから現代日本人小児の顎関節形態の三次元的な把握は十分になされていない。本研究の目的は,すでに撮像が施されているCT像を用いて小児期における下顎窩の三次元的な形態変化を検討することである。研究資料は,患児,36症例72関節(男児:18名,女児:18名,7歳~12歳)より得られたCTデータとした。FH平面を基準にCT三次元再構築像を作成し,設定した計測点をもとに下顎窩の1.水平的位置変化,2.垂直的変化,3.前後的変化,4.左右的変化,5.角度変化の各項目について計測した。
Spearmanの相関係数および回帰直線を算出し,年齢との関連を検討した(危険率5%以下有意)。その結果,年齢と下顎窩の水平的位置変化,垂直的変化,左右的変化および角度変化より得た項目間に有意な相関係数を認めた。しかし,年齢と下顎窩の前後的変化より得た項目間に有意な相関係数は認めなかった。また,年齢から下顎窩の水平的位置変化,左右的変化および角度変化より得た項目では回帰直線が得られたが,垂直的変化の項目では回帰直線が得られなかった。以上の結果より,小児期の下顎窩の形態変化は三次元的に多様であることが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top