2002 年 40 巻 5 号 p. 858-862
3歳10か月の男児に認めた下顎左側第二乳臼歯の完全埋伏症例について,9年4か月間の長期管理を行った。
1,初診より6か月の経過観察を行ったが萌出傾向は認められず,埋伏歯の開窓および牽引を行った。この時点では後継永久歯歯胚は認められなかった。
2.開窓から2年9か月後,エックス線写真より後継永久歯である下顎左側第二小臼歯歯胚の透過像を認める所見を得た。
3.開窓から9年4か月後,下顎左側第二小臼歯は口腔内に完全に萌出し,対合歯との咬合を得るに至った。乳歯埋伏は,永久歯歯胚の発育障害および萌出障害に深く関与している。そのため,継続的な管理の中で適切な対応を行うことが重要である。