小児歯科学雑誌
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開業歯科医院における小児有病患者の実態と高次医療機関との連携事例について
新井 桂白川 哲夫小口 春久
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2003 年 41 巻 1 号 p. 214-223

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抄録
著者らは過去10年間に,あらい歯科・小児歯科医院を受診した有病外来患者の実態を調査すると同時に,幾つかの臨床例を通して高次医療機関との連携・協力について考察するのを目的に本研究を行った.有病小児外来患者196名について臨床統計的な調査を実施して,以下の結論を得た.
1.有病小児患者の年齢別では3~5歳が最も多く全体の50.5%を占め,小児患者全体での有病者率は7 .2%であった.
2.来院経緯は知人からの紹介が39.3%で最も多かったが,学校,他の医療機関,保健センターなどを加えると,何らかの紹介による来院率は70%であった.
3.来院圏としては,医院の所在する区内からが81.6%であったが,うち61.3%は徒歩圏外からの来院であった.
4.疾患分類では,呼吸器疾患が最も多く37.7%を占め,すべて喘息であった.次いで精神・神経疾患22.7%,先天性心疾患10.6%であり,これら3つの分類で71.0%を占めていた.
5.初診時の主訴は0~2歳では「予防処置」が最も多かったが,他のすべての年齢層では「齲蝕処置」を希望する事例が最も多かった.
6.初診時の投薬内容の確認については,82.1%の患者が何らかの全身的投薬を受けていたが,そのうち24.2%は問診表で確認できず他の方法で後に確認された.
7.処置後,あるいは来院後の局所的・全身的状況から高次医療機関に精査を依頼し初めて有病者であることを確認した事例が8例あり,高次医療機関との連携と協力の重要性を確認した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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