抄録
乳児を対象にした乳児用食品の固さの基準値についての客観的な検証は行われていない現状である.そこで,乳児に適正な物性基準の資料を得る目的で,離乳期の乳児を対象に摂食時の口腔領域の動きを観察評価して,その発達状態によって4群に分類し,以下の検討を行った.被験食品は,予め調整した固さの異なる4種類の基準食品とし,それらの食品の摂食時の処理方法の適否および顎の運動回数を指標として4群間で比較検討を行い以下の結論を得た.
1.被験食品の固さが増加するに伴い,適正処理可能な乳児の割合は減少した.
2.乳児は,食品の固さに応じて,顎の運動回数を変化させ食品を処理していることが認められた.
3.食品の固さの変化による顎の運動回数は,離乳の時期によって異なることが示唆された.
離乳初期~後期の乳児が処理できる固さの目安は得られたが,今後これらの固さの食品に対して適切な顎運動回数の検討などがさらに必要と考えられた.