小児歯科学雑誌
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小児における咀嚼時の主機能部位の変化
中田 志保渡辺 里香早崎 治明中田 稔
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2003 年 41 巻 1 号 p. 252-258

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抄録
歯列内で硬い食品を噛む部位である咀嚼時の主機能部位(歯種)は,成人では被験者によって一定しており,第一大臼歯であることが多いといわれている.本研究は,小児における咀嚼時の主機能部位の有無および主機能部位の歯齢にともなう変化を明らかにするため,II A期からIV A期までの各歯齢につき,約30人ずつを被験者とし,ストッピングを用いてそれぞれ5回の噛みしめを行わせた.5回の噛みしめにおいて,主に噛みしめた部位を各被験者の主機能部位として観察を行ったところ,以下の結論を得た.
1.小児は,成人で報告されたような歯列上の1か所に噛みしめ部位が集中する傾向は少なかったが,主機能部位の歯種は歯齢により一定していた.
2.小児の咀嚼時の主機能部位は,II A期からIII A期にかけて第二乳臼歯が中心であったが,II B期に第二乳臼歯が脱落することにより,第二乳臼歯から第一大臼歯へ移行した.III C期以降の主機能部位は,第一大臼歯であった.
3.ストッピングの噛みしめ部位を調べることで,主機能部位を簡便に特定することができた.また,各歯齢における主機能部位が明らかとなったことから,咀嚼機能の発達を評価する上で,有用な方法となり得ることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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