抄録
永久歯列期の骨格性前歯部開咬における骨格性偏位および犬歯,小臼歯,大臼歯の歯槽性偏位を45°斜位頭部エックス線規格写真により検討し,その形態的特徴の究明と混合歯列期における開咬の治療目標の確立を目的として,本研究を行った.
資料はHellman歯齢IVAの骨格性前歯部開咬女子20例(18歳1か月±5歳3か月)の左右側45°斜位頭部エックス線規格写真40枚を用いた.
骨格性偏位は角度計測3項目,歯槽性偏位は角度計測27項目と距離計測20項目で計測し,亀谷の正常咬合群と比較して評価した.
骨格性前歯部開咬では下顎角の開大,下顎下縁平面の急傾斜,口蓋平面の前上方偏位,上顎第一大臼歯と側方歯群の近心傾斜と高位,下顎側方歯群の近心傾斜と低位,上下第二大臼歯の遠心傾斜が示唆された.この形態的偏位の抑制が混合歯列期における開咬の治療目標である.