抄録
過剰歯は,小児歯科臨床において遭遇する機会が非常に高く,過剰歯の存在が歯列・咬合へ影響を及ぼしていると考えられる症例が少なくない.そこで著者らは,過剰歯の実態を詳細に把握し,処置方針の決定に役立てることを目的に,来院の経緯(動機),性別,年齢,過剰歯の歯数,部位,萌出・埋伏の別および埋伏状態,エックス線画像検査法ならびに対応法について調査および検討を行った.その結果,萌出中の過剰歯はほぼ萌出の完了した時点で抜歯されていたのに対し,埋伏過剰歯では,歯列に障害を及ぼすと診断されたが,抜歯時の外科的侵襲が隣在永久歯歯根の形成に影響を及ぼさないと思われるものは抜歯を行っていた.しかし,歯列に障害を及ぼさないと診断された過剰歯で,しかも抜歯時に隣在永久歯の歯根形成に影響を及ぼす危険性が高いと考えられるものは,経過観察を行い抜歯時期を検討する傾向にあった.