抄録
鶴見大学歯学部附属病院小児歯科診療室では,歯科治療に際して対応上特別な配慮が必要な心身障害者や低年齢児で,協力状態や処置内容から全身麻酔の適応であると判断された患者に対して全身麻酔下歯科治療を実施している.本報告は,当診療室で実施した全身麻酔下歯科治療の最近の実態を把握することを目的に,1997年4月から2002年3月までの5年間の実態調査を行い,過去の調査結果と比較した.その結果は以下の通りである.
1.症例数と年齢分布:85名(男性59名,女性26名)の患者を対象に,のべ96症例の全身麻酔下歯科治療が行われた.処置時平均年齢は12歳9か月(7か月から30歳0か月)であった.過去の報告と比較して症例数は減少し,平均年齢は高かった.
2.全身麻酔患者の内訳:対象患者の大部分(78名)が心身障害者であり,その多くは精神発達遅滞であった.これは過去の報告と同様の傾向であった.
3.処置内容と処置歯数:総処置歯数は1,031歯(1症例当り11.6歯)であり,乳歯,永久歯とも歯冠修復が最も多く,歯冠修復の中ではコンポジットレジン修復が高い割合を占めていた.過去の報告と比較して,歯冠修復とシーラントの割合が増加し,抜歯と歯髄処置の割合は減少していた.
4.処置時間と麻酔時間:処置時間と麻酔時間の平均はそれぞれ2時間13分(21分から4時間40分) ,3時間9分(50分から5時間28分)であった.過去の報告と比較して,処置時間と麻酔時間は延長していた.