抄録
低位下顎第一乳臼歯の存在が歯列咬合関係に与える影響を検討した.対象は男児12名,女児17名,計29名の日本人小児である.歯列研究用模型を用いて,咬合関係,歯および歯列の大きさ,下顎歯列の彎曲について,Hellmanの歯齢別に検討を行い,以下の結果を得た.
1.咬合関係
前歯の咬合関係では,反対咬合の割合が最も高かった.II C期の資料のterminal planeはmesial step typeが最も多く,III A期以降の資料の第一大臼歯の咬合関係はAngleのIII級が最も多かった.
2.歯および歯列弓の大きさ
下顎第一乳臼歯が左右とも低位乳歯である歯列は,上下顎ともに第二乳臼歯間の歯列弓幅径が小さく,歯列弓長径が大きかった.
3.下顎歯列弓の彎曲
下顎第一乳臼歯が左右とも低位乳歯である歯列の彎曲は,左右差はなく,左右ともに標準値より大きかった.左右どちらか一方が低位乳臼歯の歯列の彎曲は,患側は標準値に近かったが,健側は標準値より大きく,左右非対称であった.また,II C期よりもIII A期の方が彎曲が大きく,第一乳臼歯がより低位である傾向が認められた.
以上の結果より,下顎第一乳臼歯が低位乳歯である歯列の咬合関係は,反対咬合である割合が高く,矢状方向からみた下顎歯列弓の彎曲が強い傾向が示された.