小児歯科学雑誌
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小児白血病治療後に認められた歯の形成障害
第1報:障害の程度および形態について
三穂 蓉子池田 正一井上 吉登山口 敏雄
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2003 年 41 巻 5 号 p. 805-812

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抄録

小児白血病治療の晩期障害として歯の形成障害が起こる。著者らは,12歳未満で白血病と診断された31名に対し,パノラマエックス線写真を用いて,永久歯の発育段階別に歯の形成障害と白血病の治療内容との関連性について調査を行った。歯の形成障害の分類として歯の欠如,矮小歯,歯根短縮とした。さらに歯根短縮にっいては,形態および短縮程度により5種類に分類した。
1.歯の形成障害は,治療開始後約4年経過するとエックス線写真上で観察されることが判明した。
2.化学療法による歯の形成障害と発育段階との関連は,石灰化開始前で95.5%が矮小歯となった。また,歯冠完成期では約80%にU2型歯根短縮が認められた。
3.造血幹細胞移植療法による歯の形成障害と発育段階との関連は,石灰化開始前で83.3%に歯の欠如,16.7%に矮小歯が認められた。咬頭形成期では90%以上に矮小歯が認められた。歯根短縮は歯冠3/4完成期から歯根1/2完成期にかけてなんらかの形で100%認められた。V1型は歯冠3/4完成期で76.5%,V2型は歯冠完成期で45.9%,Y型は歯根1/4完成期で31.3%,U1型は歯冠完成期で33.3%,U2型は歯根3/4完成期で68.2%に認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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