抄録
格子パターン投影法を応用した非接触三次元計測装置を用いて,4方向から撮影した顔面形態の三次元画像情報を合成・再構築し,顔面形態を多方向から三次元で観察・計測する方法を考案した。本研究の目的は,本法における顔面形態計測の精度と再現性を検討することである。
被験者はボランティア学生19名(25歳3か月±1歳9か月)である。顔面形態の撮影は格子パターン投影非接触三次元形状計測装置を用いて行い,4方向からの三次元画像情報を得た。これらの画像情報から,三次元顔面形態画像を合成・再構築した。顔面形態は,距離計測10項目について,生体上と画像上で計測した。顔面形態の撮影と計測は,同一計測者が2週間隔で,2回行った。
本計測法の精度,再現性は,それぞれ生体計測値と画像計測値との間,2回の画像計測値の間において,対応のあるt検定,相関係数,計測誤差(Dahlbergの式)を用いて評価した。対応のあるt検定では,すべての計測値間において,統計学的有意差がなく,相関係数では有意な相関が示された。計測誤差は1.5mmから2.6mmになり,従来の報告に近似した。これらの統計学的所見は本法における顔面形態計測が臨床応用可能な精度と再現性を有することを示した。