小児歯科学雑誌
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42 巻 , 4 号
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  • 遠藤 敏哉, 久保田 美文, 小島 功嗣, 尾添 理恵子, 大塚 幸喜, 小松原 良平, 下岡 正八
    2004 年 42 巻 4 号 p. 491-497
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    格子パターン投影法を応用した非接触三次元計測装置を用いて,4方向から撮影した顔面形態の三次元画像情報を合成・再構築し,顔面形態を多方向から三次元で観察・計測する方法を考案した。本研究の目的は,本法における顔面形態計測の精度と再現性を検討することである。
    被験者はボランティア学生19名(25歳3か月±1歳9か月)である。顔面形態の撮影は格子パターン投影非接触三次元形状計測装置を用いて行い,4方向からの三次元画像情報を得た。これらの画像情報から,三次元顔面形態画像を合成・再構築した。顔面形態は,距離計測10項目について,生体上と画像上で計測した。顔面形態の撮影と計測は,同一計測者が2週間隔で,2回行った。
    本計測法の精度,再現性は,それぞれ生体計測値と画像計測値との間,2回の画像計測値の間において,対応のあるt検定,相関係数,計測誤差(Dahlbergの式)を用いて評価した。対応のあるt検定では,すべての計測値間において,統計学的有意差がなく,相関係数では有意な相関が示された。計測誤差は1.5mmから2.6mmになり,従来の報告に近似した。これらの統計学的所見は本法における顔面形態計測が臨床応用可能な精度と再現性を有することを示した。
  • 中野 崇, 東 公彦, 長縄 友一, 阿知波 恒仁, 福田 理, 土屋 友幸
    2004 年 42 巻 4 号 p. 498-504
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年齲蝕予防への関心が高まる中,フッ素の応用は齲蝕予防を行う上で全年齢を通して欠かすことのできないものとなっている。しかしながら障害者,低年齢児では満足な洗口ができず,フッ素の飲み込みが危惧されるため,積極的には実施されているとは言えない。従ってこれら児・者にも効果的,かつ安全にその応用方法を確立することが望まれる。そこで,著者らは従来の洗口液に塗布時の操作性を良くするために粘性を持たせ,通法の洗口後の口腔内残留フッ素量と同程度の量を歯ブラシにて塗布することを考えた。今回,通常の洗口法と改良を加えた洗口剤を局所塗布した後の経時的口腔内残留濃度を計測した結果,両者ともに口腔内全体にフッ素は行きわたっていることが確認され,また,その後の口腔内残留フッ素濃度は,経過時間10分後,30分後ともに全ての部位(上下顎の中切歯,犬歯,第一大臼歯)において両者に有意差は認められなかった。以上の結果から,本法は洗口能力が劣ったり,飲み込みの抑制のできない障害者,低年齢児の家庭療法として有用であると考えられる。
  • 原田 桂子, 西川 聡美, 相川 文子, 福留 麗実, 北岡 裕子, 友竹 雅子, 阿部 洋子, 木村 奈津子, 山口 公子, 山内 理恵, ...
    2004 年 42 巻 4 号 p. 505-511
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    徳島大学歯学部附属病院小児歯科は,1982年4月1日開設以来,小児の全人的な健康に寄与することを目的として,0歳児から成長発達の完了する20歳頃までの小児を対象に長期口腔健康管理を行っている。今回,開設以来2003年3月31日までの21年間に来院した9752名の初診患児を対象に調査・分析を行い,以下の結果を得た。
    1.初診患児数は21年間の年間平均は464名で1991年から1996年に向け減少傾向をたどったが,1997年以降増加傾向に転じた。
    2.開設当初は乳歯列期の小児の受診割合が約40%で最多であったが,1992年以降は混合歯列期の小児の受診割合が約45%を占め最多であった。
    3.開設当初は紹介の無い患児が80%以上であったが,近年は紹介率が約30%で維持されていた。
    4.各年度とも約10%は障害児,有病児であった。
    5.主訴は開設当初約60%であった「齲蝕」が,近年約30%に減少し,開設当初10%以下であった「混合歯列期の歯並び」「歯数・萌出の異常」および「外傷」が各々約15%へと増加傾向を示した。
    6.当科を選んだ理由は,各年度を通して「他歯科医院からの紹介」「高度な治療」が上位を占めていたが,近年「親戚・知人からの紹介」が約20%と多くなった。
    7.1992年以降,5年以上の継続受診者は約50%になった。
  • 韓 娟, 清水 武彦, 清水 邦彦, 前田 隆秀
    2004 年 42 巻 4 号 p. 512-517
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    コルチゾン投与によるマウス唇顎口蓋裂発症の遺伝形式を検討するため,唇顎口蓋裂高感受性であるA/WySn(以下Aとする)系統マウスと唇顎口蓋裂低感受性であるC3H/He(以下C3Hとする)系統マウスを用いて遺伝学的交配実験を行い,妊娠11日目から14日目までの4日間に妊娠マウスにコルチゾンを投与した。胎生18日に,A×A,C3H×C3H,交雑F1としてA×C3H,C3H×A,およびN2バッククロスマウスとしてA×F1(A×C3H),A×F1(C3H×A),F1(A×C3H)×AとF1(C3H×A)×Aの8群のマウス胎仔において唇顎口蓋裂の発症率を観察したところ以下の結論を得た。
    1.コルチゾン投与による唇顎口蓋裂の発症率は,親系のA系マウスが11.3%であり,N2バッククロスマウスが3.6%であった。親系のC3H系マウスおよび交雑F1マウスにおいて唇顎口蓋裂の発症は認められなかった。
    2.N2バッククロスマウスにおいて,唇顎口蓋裂の発症に両側性と片側性,また左右側性の間に有意差は認められなかった。
    3.コルチゾン投与によるマウス唇顎口蓋裂の発症には性差がなく,常染色体劣性遺伝性であることが示唆された。
    4.コルチゾン投与によるマウス唇顎口蓋裂の発症は複数遺伝子が関与し,そのうち主たる原因遺伝子が存在することが示唆された。
    5.コルチゾン投与によるマウス唇顎口蓋裂の発症に遺伝的な母体効果はみられなかった。
    以上のことから,分子遺伝学的手法の一つである連鎖解析を用い,唇顎口蓋裂を有するN2マウスにおいて全常染色体上のインターバルマッピングにより,マウス唇顎口蓋裂の原因遺伝子が存在する候補染色体を特定すること,さらに候補遺伝子を特定することが可能となった。
  • 鶴山 賢太郎, 鬼頭 依里, 西村 一美, 田中 眞理, 前田 隆秀
    2004 年 42 巻 4 号 p. 518-526
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,MR画像検査から復位を伴う関節円板前方転位と確定診断された患児に対して前方整位型スプリントを装着し,顎関節症状の推移とMR画像検査による関節円板位置を評価することを目的として行った。評価対象は平成13年10月から平成15年12月までの間に日本大学松戸歯学部附属歯科病院小児歯科部を受診し,MR画像検査により開口時の関節円板の復位を伴う関節円板前方転位と確定診断された26名のうち,参加基準を満たした11歳から16歳の患児15名とした。評価項目は自覚症状,開口量,開口時痛,圧痛,ロック症状,関節雑音,異常下顎運動とし,それぞれ治療前,治療開始1週後,1か月後,3か月後,6か月後に治療前と比較して評価を行った。さらにスプリント治療開始前および顎関節症状に改善が認められた時点においてMR画像検査を行い,関節円板位置を評価した。
    その結果,前方整位型スプリント治療後には,患児の自覚症状,開口量,開口時痛,圧痛,ロック症状,異常下顎運動の項目において有意な改善が認められた。関節雑音とMR画像検査による関節円板位置については,術後の有意な改善は認められなかったものの,40%程度の患児において改善が認められた。
    本研究より,若年者の関節円板障害患者に対する前方整位型スプリント治療は,顎関節症状を軽減し,良好な治療経過によっては関節円板位置を改善する可能性が示唆された。
  • 押野 一志, 戸井 学, 前田 晃嗣, 加藤 一夫, 中垣 晴男
    2004 年 42 巻 4 号 p. 527-534
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    フッ化物配合歯磨剤は齲蝕予防の代表的なセルフケア剤であるが,不適切な使用方法などによりフッ化物の利用率は充分とはいえない。しかし,一方にNaF,他方にMFPおよびCaLを配合した2剤型歯磨剤をエナメル質へ作用させると,CaF2微粒子を効率的に生成してフッ化物取り込みが高まることが知られている。
    本研究は,この2剤型歯磨剤とNaFまたはMFP配合歯磨剤のエナメル質初期齲蝕(表層下脱灰病変)に及ぼす影響,すなわち,酸性環境や中性環境における再石灰化挙動の解析を目的とした。表層下脱灰病変を各歯磨剤スラリー処置とpH5またはpH7の2種の再石灰化溶液へ浸漬するという再石灰化試験を行った。その結果,以下の所見が得られた。
    1.pH5で5日後のミネラル喪失量は,無処置群の増加傾向に対して他の処置群は減少傾向を示し,無処置群よりも2剤型歯磨剤群の方が有意に減少した。酸性環境においても2剤型歯磨剤には再石灰化促進効果があると考えられる。
    2.pH7で5日後のミネラル喪失量は,いずれの処置群も有意に減少し,無処置群よりも2剤型歯磨剤群が有意に減少した。
    3.pH7で9日後の脱灰深度は,無処置群が他の処置群よりも有意に減少した。無処置群では表層部で反応しやすいフッ化物が存在しないため,主に深層部での再石灰化が進行したと考えられる。
    4.pH7で9日後の表層からの平均フッ化物濃度は,表層部の方が深層部よりも高く,2剤型歯磨剤群>NaF歯磨剤群>MFP歯磨剤群の順に低下する傾向がみられた。
  • 大須賀 直人, 松田 厚子, 趙 満琳, 新井 嘉則, 紀田 晃生, 岩崎 浩, 宮沢 裕夫
    2004 年 42 巻 4 号 p. 535-540
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎骨内に存在する未萌出歯の観察は,歯科用エックス線写真による二次元的な画像であるために,像の拡大や歪みなど精度の低下が疑問視され,撮影部位によっては解剖学的形態から読影が困難である場合が多い。しかし,CTやMRIによる撮影は被曝線量や解像力の問題が指摘され,歯科臨床に応用されることが少ない。本研究では,被曝線量が少なく,硬組織の画像が鮮鋭であり,装置が小型である歯科用小照射野エックス線CTを使用し,解剖学形態により読影が困難とされる上顎の未萌出歯の観察を行った。その結果以下の結論を得た。
    1.歯列に対して平行する面では,第二大臼歯は遠心方向に回転していた。
    2.咬合平面に対して平行する面では,第二大臼歯は第一大臼歯に対して頬側方向に位置していた。
    3.歯の萌出方向に隣接した歯槽骨の一部が存在しないことが確認できた。また,歯槽骨が離開している部分は,第二大臼歯の歯冠幅径に比べて小さい値を示した。
    4.歯列に対して横断する面では,第二大臼歯歯冠の根尖は硬口蓋よりも頭蓋側に位置していた。
    5.3DXの撮影画像では,硬組織や未萌出歯の位置関係が鮮鋭に観察できた。
  • 八幡 祥子, 広瀬 弥奈, 松本 大輔, 五十嵐 清治
    2004 年 42 巻 4 号 p. 541-548
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕罹患の部位特異性や増加に及ぼす影響を,宿主(歯質)側の要因から明らかにするため,中国北京市で得られた上・下顎中切歯および第一大臼歯の4歯種を対象に,マイクロサンプリング法を応用して歯面部位別のエナメル質表層F濃度について測定し,以下の結論を得た。
    1.各歯のエナメル質表層F濃度は,いずれの深さにおいても歯面部位別な有意差は認められなかった。
    2.測定した12歯面部位の中で最もF濃度が高かった部位の濃度を100%とした場合のF濃度分布は,表層の1,3,5μmにおいて唾液クリアランスの良い部位やプラークの蓄積量の多い部位(下顎中切歯舌側面,上顎第一大臼歯頬側面,下顎第一大臼歯舌側面)ではF濃度が高く,反対に唾液クリアランスの悪い部位やプラークの蓄積量の少ない部位(上顎中切歯唇側面,上顎第一大臼歯口蓋側面,下顎第一大臼歯頬側面)ではF濃度が低かった(p<0.05)。
    以上より,唾液,プラークなどの口腔内環境因子がエナメル質表層におけるF濃度分布に影響を与え,齲蝕発生の部位特異性に関与していることが推察された。
  • 石谷 徳人, 舛元 康浩, 吉原 俊博, 山崎 要一, 中田 稔
    2004 年 42 巻 4 号 p. 549-560
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    治療開始年齢4歳1か月の男児と5歳8か月の男児における乳歯列期鋏状咬合の2症例について,治療法の検討を重ね,咬合誘導を行ったことにより,以下の結果を得た。
    1.上顎歯列の側方への縮小と下顎歯列の側方への拡大を同時に行ったことにより,2か月前後で鋏状咬合は改善され,治療期間の短縮に有効であった。
    2.健側乳臼歯部の咬合を挙上させて治療を行うことは,鋏状咬合部の垂直被蓋が大きな症例に対して有効に作用した。
    3.両症例ともに現在も良好な咬合関係が維持されている。
  • 白瀬 敏臣, 黒田 暁洋, 河上 智美, 小方 清和, 酒寄 浩章, 内川 喜盛
    2004 年 42 巻 4 号 p. 561-568
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷よる上顎右側乳中切歯の脱離を主訴に来院した3歳1か月の女児に,保護者の承諾のもと再植を行い,後継永久歯の萌出に至るまで術後経過を観察した。
    患児は牛乳中に脱離歯を保存し,受傷より1時間後に来院した。脱離歯を再植し,生理的固定を行い,9日後に水酸化カルシルムを根管填塞した。再植2か月後では炎症性吸収は認められなかった。再植4か月後では生理的動揺は消失し,骨性癒着が疑われた。再植2年4か月後では歯根吸収は緩徐に進行していった。この間の乳歯列の推移では,再植歯に隣接する歯間空隙量が他部位に比べ少なくなっていた。再植歯は自然脱落し,後継永久歯は正常に萌出した。後継永久歯の歯冠部唇側切端寄り1/3付近に白斑を認めたが,表面は平滑で実質欠損は認められなかった。
    本例は,脱離歯の口腔外保存時間が短かったこと,受傷が1歯に限局していたこと,歯根完成歯で吸収に耐えうるだけの歯根部象牙質が形成されていたこと,正常咬合で口腔習癖がなかったこと,受傷時には後継永久歯胚の形成が進んでいたことなどの条件により比較的良好な予後が得られたものと考えられる。乳歯の再植は原則的に禁忌とされているが,本例は長期にわたり乳歯を保存し,後継永久歯への障害も少なかった。乳歯の再植は,後継永久歯への影響に加え,再植歯の萌出レベルや歯間空隙量など,歯列形成に影響を及ぼす可能性があることを認識し慎重に選択する必要がある。
  • 荒井 清司, 岡本 春憲, 山口 晴信, 松根 健介, 酒巻 裕之, 近藤 壽郎, 前田 隆秀
    2004 年 42 巻 4 号 p. 569-574
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3歳5か月から日本大学松戸歯学部附属歯科病院にて口腔管理を行っている患児に発症した線維性骨異形成症を経験し臨床経過を観察したので報告する。
    1.視診で9歳3か月時には,右側上顎乳犬歯部から右側上顎乳臼歯部に骨膨隆を認め,10歳5か月時には,右側上顎乳犬歯部から右側上顎結節を含む範囲に骨膨隆の拡大を認めた。
    2.パノラマエックス線写真において9歳3か月時には右側上顎乳犬歯部から右側上顎乳臼歯部に境界やや不明瞭なスリガラス状の病変を認め,10歳7か月時に病変の大きさの拡大とともにスリガラス状から不透過像へと病変の成熟度の変化が認められた。
    3.患児の成長とともにエックス線上で病変の増大と成熟が認められた。
    本疾患と類似疾患との鑑別診断は,臨床症状からの診断が困難であり,エックス線写真,病理組織像,骨シンチグラムなど総合して確定診断を慎重に行うべきである。そして処置に関しては,患児の成長と病変による機能障害を考慮した上で,方法や時期を選択するべきであると考えられた。
  • 岡本 春憲, 宇治川 玲子, 松根 健介, 荒井 清司, 今村 隆一, 前田 隆秀
    2004 年 42 巻 4 号 p. 575-579
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,唇顎口蓋裂の顎裂部に近接する,奇形した突起を伴う上顎中切歯の歯内療法処置を経験した。上口唇内側粘膜における潰瘍の疼痛が,奇形歯の持続的刺激により引き起こされた。奇形歯の複雑な歯髄腔形態を3DXK®(モリタ社製)を用い診査,処置を行った。
    1.3DX(R)画像より,唇側突起部内の歯髄腔と本来の中切歯の歯髄腔とが交通していることが確認された。
    2.奇形歯の形態修正を行ったところ,唇側面からの露髄を認めたため,抜髄処置とガッタパーチャポイントによる根管充填を複雑な歯髄腔に対して行った。
    3.現在テンポラリークラウンを奇形歯に装着し,経過観察を行っている。治療後は患者に潰瘍及び疼痛が無く,良好な口腔内環境を維持している。
  • 白川 哲夫, 菊入 崇, 土岐 志麻, 阿部 倫子, 樋口 かさね, 小口 春久
    2004 年 42 巻 4 号 p. 580-589
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らはこれまでに,レーザードップラー血流計による小児および成人の永久切歯の歯髄血流測定,ならびに外傷後の幼若永久歯の歯髄診断へのレーザードップラー血流計の応用について報告した。
    本研究では,1年を超える永久中切歯の外傷の治癒経過と歯髄血流変動についてレーザードップラー血流計を用いて検討した。健全歯ならびに生活歯であることが判明した外傷歯において,歯髄血流に脈拍と同期した拍動成分とともに0.01-0.05Hzの低周波成分が存在することが明らかになった。これらの周期的変動成分の検出は,エックス線写真上で歯髄腔の確認が困難な歯についても可能であった。軽度の脱臼を認めた7歳児の上顎中切歯外傷の1例では,受傷8日後に測定された歯髄血流値は,対照群の小児の上顎中切歯の歯髄血流値に比べ約2倍の値を示した。歯根破折があり固定を必要とした上顎中切歯外傷の1例にお受いて,傷約5年後の診査で歯髄腔の狭窄とともに歯髄血流値の低下を認めた。
    これらの結果は,外傷後の歯髄の回復過程の評価ならびに歯髄診断に,レーザードップラー血流計による歯髄血流測定が有用であることを示している。
  • 甲原 玄秋
    2004 年 42 巻 4 号 p. 590-596
    発行日: 2004/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    12歳のKasabach-Merritt症候群の男児が食事の際舌を噛み,4日間出血をくり返したため千葉県こども病院血液腫瘍科を受診した。口腔出血のため歯科に対診を求められた。体幹と左上肢の広範囲に血管腫が存在していた。血小板数は11.4×104/μlと軽度低下を示し,その他の凝固系検査で播種性血管内血液凝固が認められた。舌尖端部にみられた長さ5mmの浅い傷を2針縫合し止血を確認し帰宅させた。しかし,翌日再度舌から出血を生じ食事摂取に支障を生じ血液腫瘍科に入院となった。カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,トラネキサム酸の投与が行われたが出血は持続し,第4病日に舌先端部を6針再縫合し止血した。しかし第6病日には元の傷の側方に小さなアフタが形成され新たな出血を生じた。そこで同部の縫合も行った。縫合により止血状態が得られても出血をくり返すことから,ヘパリン持続投与が開始された。その後再出血はなく,第14病日に抜糸し退院となった。Kasabach-Merritt症候群では,DICを伴っていても日常生活は支障なく過ごせることもあるが,一旦出血すると止血困難な状態に陥る。本例は小さな咬傷のため一般的には縫合を要さない程度であるが,DICがあることより縫合処置にもかかわらず出血をくり返した。一見矛盾するように思えるが体内での凝固系,線溶系の均衡を変えるべくヘパリンによる抗凝固療法が止血に有効であった。
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