小児歯科学雑誌
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低年齢児における口腔内異物を除去した2症例
小平 裕恵川島 あすか井出 正道朝田 芳信
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2004 年 42 巻 5 号 p. 694-700

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抄録
低年齢児は何にでも興味を持ち,身の回りのあらゆる物を口に入れる特性がある。当診療室に来院した低年齢児で,口腔内異物が認められ,除去した2例について報告する。症例1:1歳8か月の男児は下顎右側乳中切歯の歯肉腫脹,歯槽骨吸収を主訴に来院した。歯肉縁下にストローと考えられる異物が嵌入しており,異物を切断しながら除去した。歯槽骨の吸収は重度であり,下顎右側乳中切歯の挺出も認められた。異物除去6か月後に歯槽骨の再生がみられ,現在,経過観察を継続している。
症例2:2歳1か月の男児は,縫い針の口腔軟組織への迷入のため来院した。口腔内診査では迷入部位が特定できなかった。エックス線写真検査により迷入位置を確認して摘出した。予後は良好であった。
異物除去を行う際には,異物の材質や位置の特定に有効な診査法を選択し,的確な診断のもとに処置することが肝要である。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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