小児歯科学雑誌
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障害児通園療育施設で実施した口腔保健指導の効果に関する追跡調査
福山 可奈子緒方 哲朗水上 あかね立野 麗子福本 敏野中 和明
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2005 年 43 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

障害児の口腔衛生管理において,家庭での歯磨き習慣の確立やかかりつけ歯科医を持つことによる予防が重要である.著者らは17年前から,福岡市の心身障害児通園施設において通園児とその保護者を対象に,1年に2回の口腔保健指導を続けている.口腔保健指導の内容は,口腔内診査,カウンセリングおよび歯磨き指導である.指導の基本方針は,家庭での歯磨きの習慣の確立とかかりつけ歯科医を持つことの2点である.今回著者らの口腔保健指導が定着し,卒園後も家庭での歯磨きを継続できているかなどを知るために,アンケートによる追跡調査を行った.通園中に口腔保健指導を受け,卒園後3年以内の144名の小児の保護者を対象に,家庭での歯磨き習慣の有無,歯磨きに対する小児の協力度,かかりつけ歯科医の有無について質問した.その結果,回収率は80名(55.6%)であった.現在毎日歯磨きしていると答えた人は86%で,通園時の割合と同じであった.また歯磨き時の協力度は,改善されている傾向にあった.現在かかりつけ歯科医がいると答えた人は81%であり,通園時の57%より増加していた.今回の結果より,卒園後も歯磨き習慣が定着し,かかりつけ歯科医を持つ人が増えていることから口腔保健指導の意義を明らかにできた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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