小児歯科学雑誌
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歯科大学病院小児歯科臨床における口腔外傷に関する実態調査
坪倉 亜希子金子 かおり辻野 啓一郎望月 清志大多和 由美藥師寺 仁
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2005 年 43 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

小児の口腔外傷は,患児の歯列および顎顔面の成長発育に影響を及ぼす.近年,生活環境の複雑化に伴い,口腔外傷を主訴に小児歯科臨床を訪れる患児は増加傾向を示している.
今回,平成12年4月からの3年3か月間に,口腔外傷を主訴として東京歯科大学水道橋病院小児歯科に来院した患児(乳歯173歯,永久歯113歯,軟組織損傷34例)を対象に,受傷内容別患者数,性別,受傷部位,受傷原因,受傷後経過時間,受傷年齢,受傷状態,処置内容,軟組織受傷部位および処置内容の調査を行い,以下の結論を得た.
1.受傷患者の性別は,乳歯で3:2,永久歯で2.5:1と男児に多く認められた.
2.受傷部位は,乳歯で約7割が上顎乳中切歯で認められ,永久歯でも約8割が上顎中切歯に認められた.
3.受傷原因は,乳歯,永久歯ともに5割以上が転倒で最も多かった.
4.受傷後経過時間は,乳歯では受傷当日の来院が少なく,永久歯では受傷当日の来院が多かった.
5.受傷状態は,乳歯では動揺が最も多かった.永久歯では,約6割で歯冠破折を認めた.
6.処置内容は,乳歯,永久歯ともに経過観察あるいは洗浄が最も多かった.
7.軟組織損傷に関しては,歯齦が最も多く,処置内容は洗浄のみが約8割と大半を占めていた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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