2005 年 43 巻 1 号 p. 72-78
A/WySn系統マウスにおけるコルチゾン投与による唇顎口蓋裂の発症が常染色体劣性遺伝性であることを著者らは過去に報告している.本研究の目的は,コルチゾン投与によるA/WySn系統マウス唇顎口蓋裂発症に関与する遣伝子が存在する候補染色体を検出することである.唇顎口蓋裂を発現するA/WySn系統と唇顎口蓋裂を発現しないC3H/He系統間で遺伝学的な交配より得られたN2マウス胎仔1031匹から37匹の唇顎口蓋裂を有するマウス胎仔を用意した.A/WySn系統とC3H/He系統間で多型を有する常染色体上に配置した82個のMitマーカーを用い,遺伝子型の判定によるインターバルマッピングを行った.結果はマウス染色体11番上のD 11 Mit 298 ,D 11 Mit 145,D 11 Mit 10およびD 11 Mit 104と,14番上のD 14 Mit113,D 14 Mit 34において有意にAホモ接合体の高い遺伝子型比が得られた.このことよりコルチゾン投与によりA/WySn系統マウス唇顎口蓋裂を発症する感受性遺伝子がマウス染色体11番と14番に存在することが示唆された.