小児歯科学雑誌
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小児の歯列および咬合状態の成長発達に関する縦断研究
咬合の推移について
海原 康孝財賀 かおり中江 寿美蔵本 銘子槇平 美夏宮本 葉子鈴木 淳司天野 秀昭三浦 一生川端 康司香西 克之
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2005 年 43 巻 5 号 p. 660-668

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抄録

小児の歯列および咬合状態の推移について,縦断的な検討を行うことを目的とし,歯列研究用模型を用いた調査を行った.歯冠崩壊をした歯を有さず,咬合誘導治療を受けていない男児17名,女児10名,計27名の日本人小児の,4歳から12歳に至るまで,毎年行った印象採得で得られた研究用模型を資料とした.対象資料に関して,乳歯列から永久歯列へ至るまでの間,乳歯の空隙,咬合状態,臼歯の咬合関係,咬合の推移について検討を行い,以下の結果を得た.
1.乳歯列の空隙は,男女ともに,発育空隙と霊長空隙が両方みられるものが最も多かった.また,男女ともに,上顎より下顎のほうが,空隙がない歯列の割合が多い傾向が認められた.
2.正常咬合の割合は,5歳時は,男児47.7%,女児50.0%であったが,12歳時には男児23.5%,女児30.0%となった.また,4歳から12歳までの間で,最も増加した不正咬合は,叢生であった.
3.ターミナルプレーンについては,両側とも垂直型の発現頻度が男児64.7%,女児60.0%と最も多かった.第一大臼歯の咬合関係は,I級が男児76.5%,女児80.0%と最も多く,次いでII級,III級の順であった.ターミナルプレーンと第一大臼歯の咬合関係は,垂直型からI級に移行するものが最も多くみられた.
4.同一個人の乳歯列期と永久歯列期を比較検討した結果,乳歯列期に正常咬合であったものは59.3%で,そのうち永久歯列でも正常咬合であったものは62.5%であった.また,乳歯列に過蓋咬合であったものは,殆どが不正咬合に移行した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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