小児歯科学雑誌
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低年齢児の齲蝕処置内容
齲蝕罹患歯数および処置内容について
辻野 啓一郎金子 かおり坪倉 亜希子望月 清志大多和 由美藥師寺 仁
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2006 年 44 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

歯科治療に適応することが困難であるとされ,乳歯萌出期にあたる3歳未満児の齲蝕罹患状態および処置の実態について把握することを目的に本調査を行った。
平成12年4月からの4年3か月間に東京歯科大学水道橋病院小児歯科に来院し,齲蝕処置を行った初診時年齢が3歳未満の幼児138名(男児87名,女児51名)を対象に調査を行い,以下の結論を得た。
1. 2歳3か月から2歳6か月未満が最も多く,この年齢帯を中心とするピークと1歳6か月から1歳9か月未満にもピークがみられた。
2.来院経緯は「開業医からの紹介」と「紹介なし」での来院がそれぞれ29.0%で最も多かった。
3.対象患児の齲蝕罹患歯数は合計718歯で1人平均5.2歯であった。各年齢での平均萌出歯数の半数以上が齲蝕に罹患している対象者も存在した。
4. 2歳未満では重症齲蝕者が占める割合が多く,2歳以降では齲蝕が軽症な者の割合が増加する傾向であった。
5. 1歳6か月から1歳9か月未満では比較的重度な齲蝕に対する処置が行われていたが,それ以降では軽度な齲蝕に対する処置の割合が増加していた。
6.治療終了までに要した治療回数は,大半が5回以下であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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