抄録
2004年4月から2005年3月に広島大学病院小児歯科を受診した知的障害児(者)を対象に,歯科診療の実態調査を行い以下の結果を得た。
1.来院患児(者)数は205名(男145名,女60名),延べ知的障害児(者)数は1,105名で,延べ患者数の8.6%を占めていた。
2.年齢分布は7~12歳が40.5%と最も多く,次いで13~18歳が16.1%,0~6歳が15.1%であった。
3.通院期間は1~5年間が37.6%で最も多く,次いで6~10年間が23.4%,16年間以上が22.4%であった。
4.調査期間内の来院回数は3および4回が40.0%を占めており,一人平均来院回数は5.4回であった。
5.患児(者)の障害は,自閉症が41.5%で最も多く,次いで精神発達遅滞が35.1%,Down症候群9.3%,脳性麻痺7.8%,その他6.3%であった。
6.対象者の50.7%に対して,何らかの体動コントロールを行っていた。そのうち徒手のみによる抑制が55.8%,バスタオルによる抑制が10.6%,レストレイナー®による抑制が31.7%,笑気吸入鎮静1.9%であった。
7.診療内容は,歯石除去が36.7%で最も多く,次いで成形修復処置が19.6%,歯科衛生士による口腔衛生指導が13.9%であった。