小児歯科学雑誌
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44 巻, 3 号
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  • 星野 倫範
    2006 年 44 巻 3 号 p. 331-336
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔細菌叢はグラム陽性球菌であるレンサ球菌が圧倒的多数を占める。これらの細菌群は,齲蝕の原因菌となったり,歯科疾患あるいは歯科処置に引き続いた敗血症・感染性心内膜炎の原因菌となったりする。こうした細菌の集合体がデンタルプラークというバイオフィルムであり,上記の疾患の温床となっている。したがって,デンタルプラークの形成機構の解明や,デンタルプラーク中の細菌を同定したりすることは臨床上意義がある。そこでこれらの目標を達成するために,プラーク形成に関与するレンサ球菌が産生する分子,とくにスクロースを基質としてグルカンを合成する酵素グルコシルトランフェラーゼの分子生物学的研究を行った。また口腔細菌叢の調査を行うツールとして口腔レンサ球菌のgtf遺伝子および16 S-23 SrRNA intergenic spacer遺伝子の多型性領域を利用した迅速なPCRによる菌種同定法を開発した。さらに4種のハウスキーピング遺伝子の遺伝系統学的解析を行い,これに基づいたより正確なレンサ球菌分類法を確立した。
  • 松本 道代
    2006 年 44 巻 3 号 p. 337-340
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 清水 武彦
    2006 年 44 巻 3 号 p. 341-346
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • とくに母親の初産年齢について
    尼寺 理恵, 有田 憲司, 西野 瑞穗
    2006 年 44 巻 3 号 p. 347-354
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3歳児の齲蝕発生の要因として,母親の初産年齢が関与しているか否かを検討する目的で,ロジスティック回帰分析を行った。調査対象は,乳幼児歯科保健管理システム“DENT”に保存された徳島県某町のデータベースの,1990年から2001年までに出生した第一子870人である。対象児の母親は,1回以上口腔保健指導を受けており,対象児は1回以上フッ化物歯面塗布の経験がある。ロジスティック回帰分析は,3歳時の乳歯齲蝕の有無を目的変数とし,母親の初産年齢:「22歳以下」「23歳以上」,おやつの回数:「4回以上」「3回」「2回」「0あるいは1回」,おやつの時間の規則性:「不規則」「規則的」,母親の仕上げ磨き:「磨いてないあるいは時々」「毎日」,祖父母の同居:「あり」「なし」,および母親の職業:「あり」「なし」の6因子を説明変数として行った。
    単変量解析で齲蝕罹患と相関性のあった母親の初産年齢,おやつの回数および祖父母の同居は,多変量解析でも相関性が認められ,多変量解析によるオッズ比は,母親の初産年齢「22歳以下」が2.451(95%信頼区間:1.623-3.702,p<0,001),おやつの回数「4回以上」が2.638(95%信頼区間:1.314-5.296,p=0.006),祖父母の同居「あり」が1.352(95%信頼区間:1.024-1.786,p=0.034)であった。おやつの時間の規則性,母親の仕上げ磨き,および母親の職業の有無に関しては有意な相関は認められなかった。以上の結果から,母親の出産年齢「22歳以下」は,乳幼児の齲蝕発生のリスク要因であると結論される。
  • 側貌頭部エックス線規格写真縦断資料を用いて
    岡本 和久
    2006 年 44 巻 3 号 p. 355-363
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    正常咬合を有する小児の顎顔面の前後径に対する上下顎第一大臼歯の増齢に伴う位置を知ることは,小児歯科臨床を行う上で重要である。研究資料としては,カナダ白人小児の側面頭部エックス線規格写真ならびに口腔模型を基準に,6, 9, 12, 16歳の縦断資料から16歳時において正常咬合と診断した小児の側面頭部エックス線規格写真を用いた。6, 9, 12, 16歳時のS-N距離,PNS-ANS距離に対する上顎第一大臼歯の位置,ならびにG-Me距離に対する下顎第一大臼歯の位置の成長変化をそれぞれ求めたところ,男女間での増齢的な顎顔面ならびに第一大臼歯の成長パターンに違いがあるが,男女とも各年齢時において顎顔面に対する上下顎第一大臼歯の位置の範囲を知ることができ,日常臨床において第一大臼歯の遠心移動あるいは近心移動を行う際の移動量を検討する一助となるものと思われた。
  • 木嶋 直人, 菊池 元宏, 関 信幸, 黒木 洋祐, 那須 大介, 由井 公貴, 柴崎 貞二, 本田 和也, 中島 一郎
    2006 年 44 巻 3 号 p. 364-370
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科用小照射野エックス線CT(3DX)は歯科界にCTによる三次元的解析をもたらした画期的な装置であるが,この装置から得られる情報は二次元的な断層撮影情報であり,直接的な三次元データを得ることはできない。そこで著者らは3DXからの情報を変換し,被写体の三次元的な汎用データの構築を可能としたアプリケーションソフトウエアを開発し,測定用キューブ大(約20mm四方),測定用キューブ小(約10mm四方),を用いてその精度を測定したところ,以下の結果を得た。
    1.全ての軸方向において実際の長さと本アプリケーションソフトウエアにより算出された長さに有意な差は認められなかった。また,その誤差は0.25mm以内であった。
    2.測定用キューブの大きさによる誤差に有意な差は認められなかった。
    以上の結果から,本アプリケーションソフトウエアは3DXからの情報を精度よく三次元データに変換することが可能であることが明らかとなった。これにより従来の3DXでは難しかった被写体の三次元的な分析や画像を把握することが可能となり,3DXの有用性をさらに高めるものであることが示唆された。
  • 田中 眞理, 韓 娟
    2006 年 44 巻 3 号 p. 371-378
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    哺乳類胎児(仔)の発育中,眼瞼は成長過程において,上下原始眼瞼が眼球の表面を被うように癒合し,一時的に閉眼する。マウスにおいては生後約12日に眼瞼の表皮癒合部分が角質化により開眼する。マウス眼瞼の正常な発育が障害されると眼瞼開存している状態で出産し,眼瞼の奇形が生じる。本研究の目的は,眼瞼開存の遺伝学的研究のために,眼瞼開存の近交系モデルマウスを確立することである。著者は,近交系A/WySnマウスとC3H/Heマウスを用い,各系統の胎生18日マウス胎仔において,自然発症およびコルチゾン投与による発症の眼瞼開存の発症率ならびに眼瞼開存と口唇裂,唇顎口蓋裂,口蓋裂の合併発症の発症率を観察した。結果は,A/WySnマウスにおいて,自然発症の眼瞼開存の発症率は11.6%であり,コルチゾン投与による眼瞼開存の発症率は21.9%であった。C3H/Heマウスにおいては,自然発症ならびにコルチゾン投与による眼瞼開存は共に認められなかった。また,A/WySnマウスにおいて,自然発症の眼瞼開存の単独発症の発症率は10.8%であり,コルチゾン投与による眼瞼開存の単独発症の発症率は8.1%であり,有意差は認められなかった。なお,コルチゾン投与による眼瞼開存と口蓋裂の合併発症の発症率は13.8%であり,自然発症の眼瞼開存と口蓋裂の合併発症の発症率(0.0%)より有意に高かった。本研究の結果から,眼瞼開存の発症は複雑な遺伝学性であることが示唆されたと同時に胎仔期でのコルチゾン投与は眼瞼開存と口蓋裂の合併発症を引き起こす強い要因であった。また,A/WySnマウスは眼瞼開存のモデルマウスとして有用であり,A/WySnマウスと眼瞼開存がまったく認められなかったC3H/Heマウスとの遺伝学的交配により眼瞼開存単独発症および眼瞼開存と口蓋裂の合併発症の原因遺伝子の解明が可能となった。
  • 假谷 直之, 松村 誠士, Omar M M Rodis, 紀 瑩, 杜 小沛, 志野 綾子, 下野 勉
    2006 年 44 巻 3 号 p. 379-384
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,我々は新しく発売されたミュータンス菌測定キット,オーラルテスターミュータンスのS. mutans検出能力を臨床評価する目的で研究を行った。被検児は岡山県内にあるN保育園児(4,5歳児)52名。オーラルテスターミュータンスとカリオスタットはマニュアルに従い処理,判定した。PCR法は,QIAGENのマニュアルに従いDNAを調製してPCR後,電気泳動にてバンドを確認した。対象をS. mutansとした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間ではP<0.001,カリオスタット値の同様な分析では,High-Low間においてP<0,01でBand検出の有無との問に関連性を認めた。対象をS. sobrinusとした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間においてはBand検出の有無との間に関連性を認めなかった。カリオスタット値の同様な分析においても,High-Low間でBand検出の有無との問に関連性を認めなかった。今回の研究で,S. mutansに特異的といわれている領域を増幅したPCR法によるバンド検出率と関連することが確認された。オーラルテスターミュータンスは,齲蝕原因菌のうち特にS. mutansの検査として有用と考えられる。
  • 何 陽介, 本川 渉, 宮崎 光治
    2006 年 44 巻 3 号 p. 385-395
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は6種の酸性フッ素リン酸溶液(pH2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,5.0)によるウシエナメル質表面のアルカリ可溶性フッ化物の析出量および表層下脱灰エナメル質の再石灰化との関係を検討した。アルカリ可溶性フッ化物の析出量はAPFの酸性度の増加に伴い増加し,pH2.5のAPFが最も大きな析出量を示した。pH2.5のAPF溶液で処理されたエナメル質表面は,0.1μm以下の微細な顆粒状のフッ化カルシウムで一面が覆われていたが,APFの酸性度の低下に伴いエナメル質の表面形態は粗造化し,フッ化物の量も減少した。エナメル質の表層下脱灰層へのフッ素の拡散はAPFの酸性度の増加に伴って増加し,pH2.5のAPFでは30-40μm深さまで多量のフッ素が拡散した。エナメル質表層の石灰化度の回復率はpH2.5のAPFが最も高く,次いでpH3.5のAPFであり,最も低い回復率はコントロール(APF処理なし)であった。
  • 三浦 梢, 中江 寿美, 鈴木 淳司, 中岡 美由紀, 天野 秀昭, 香西 克之
    2006 年 44 巻 3 号 p. 396-402
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2004年4月から2005年3月に広島大学病院小児歯科を受診した知的障害児(者)を対象に,歯科診療の実態調査を行い以下の結果を得た。
    1.来院患児(者)数は205名(男145名,女60名),延べ知的障害児(者)数は1,105名で,延べ患者数の8.6%を占めていた。
    2.年齢分布は7~12歳が40.5%と最も多く,次いで13~18歳が16.1%,0~6歳が15.1%であった。
    3.通院期間は1~5年間が37.6%で最も多く,次いで6~10年間が23.4%,16年間以上が22.4%であった。
    4.調査期間内の来院回数は3および4回が40.0%を占めており,一人平均来院回数は5.4回であった。
    5.患児(者)の障害は,自閉症が41.5%で最も多く,次いで精神発達遅滞が35.1%,Down症候群9.3%,脳性麻痺7.8%,その他6.3%であった。
    6.対象者の50.7%に対して,何らかの体動コントロールを行っていた。そのうち徒手のみによる抑制が55.8%,バスタオルによる抑制が10.6%,レストレイナー®による抑制が31.7%,笑気吸入鎮静1.9%であった。
    7.診療内容は,歯石除去が36.7%で最も多く,次いで成形修復処置が19.6%,歯科衛生士による口腔衛生指導が13.9%であった。
  • 心身障害児(者)の実態調査(平成9年~13年)
    宗田 友紀子, 塩谷 京子, 古張 久美子, 山下 登, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2006 年 44 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学歯科病院小児歯科では,開設以来,健常児とともに心身障害児に対しても口腔の健康管理を主体に歯科治療を行ってきた。
    今回,平成9年から13年までの5年間に来院した心身障害児についてその実態調査を行った。
    5年間に来院した心身障害児は1,010名で,総初診患者数の24.9%であった。
    主な障害の内訳は,運動・知能障害が23.7%,内科的疾患が7.7%,アレルギー・呼吸器疾患が10.0%,唇顎口蓋裂が58.6%であった。
    初診時平均年齢は4歳5か月であり,そのうち1,2歳の低年齢児が53.5%を占めていた。
    地域別来院状況では,唇顎口蓋裂児においては,遠方からの来院が44.6%と多く,それ以外の障害児においては,周辺地区(大田区,品川区,目黒区,世田谷区)からの来院が77.0%であった。
    唇顎口蓋裂児を除く障害児の主訴については重複回答ではあるが,齲蝕が320名と最も多く,次いで歯並びが75名,検診が57名,外傷が40名,摂食障害34名,その他が41名であった。
    診療形態については外来治療95.1%,全身麻酔下治療4.9%であった。
    齲蝕罹患状況については,全身麻酔下治療を選択した患児の未処置歯数は外来治療を選択した患児と比較して多かったが,処置歯数に関しては大きな差は認められなかった。
  • 松本 弘紀, 角田 初恵, 原田 利佳子, 赤松 順子, 青木 玲子, 坂本 悦子, 四役 裕美, 関根 真理子, 田中 光郎
    2006 年 44 巻 3 号 p. 409-415
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科における定期診査の重要性を啓蒙し,多くの方々に広く受け入れられるようにするために,定期診査に関する意識の実態を知ることを目的として,患児の保護者271名を対象にアンケート調査を行い,次のような結果を得た。
    1. 92%の保護者が定期診査に満足していた。
    2.「適切と思われる所要時間」は30分が最も多かった。
    3.「適切と思われるリコール間隔」は2~3か月間が最も多かった。
    4.歯みがき指導が「非常にわかりやすい」と回答した人は,定期診査に「非常に満足している」という回答が多く,わかりやすい歯みがき指導が定期診査の満足度を増す要素であった。
    5.定期診査に期待することは「虫歯予防」「検診」が多く,「食生活指導」に対しては期待度が低かった。口腔の健康管理には,定期的なプロフェッショナルケアを受けるとともに,家庭における規則正しい食生活や口腔衛生習慣などのホームケアが重要であると考えられる。今後は,定期的口腔管理の重要性を啓蒙し,さらなる歯科保健行動への意識を高めていく必要がある。
  • 松根 健介, 三好 克実, 荒井 清司, 渋谷 功, 土屋 有里子, 井上 雄温, 松原 清, 根本 君也, 前田 隆秀
    2006 年 44 巻 3 号 p. 416-421
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザーによる治療は,エアータービンや電気エンジンによる歯の削除と比較して生体自体への振動や音の軽減による精神的苦痛の除去につながると考えられる。今回,酸化チタン液を用い,レーザー照射条件を変化させることにより,健全歯質と齲蝕部位を選択的に除去できるか否かについて検討を行った。レーザー照射はNd-YAGレーザーを使用し,照射条件は,ファイバー径600μm(シリカ,加工なし),繰返し速度5pps,1秒,300mJまたは600mJの条件下で行い,歯とファイバーとの間に濃度の異なる酸化チタン溶液を介在させた。酸化チタン濃度の変化による歯質削除量の有意差は認められなかった。また,酸化チタン液を用い,300mJと600mJのレーザー照射を行った場合,両者共に脱灰象牙質を選択的に削除できる可能性が示唆された。さらに,300mJではAgFの影響が少なかったにも関わらず,先端出力が高くなった600mJ照射時では健全歯質に反応したAgF部を多く削除してしまう可能性が示唆された。つまり,日々の臨床においてレーザーによる歯質削除を行う場合,歯面にAgFが用いられている症例においては,先端出力が高くなると脱灰層のみに対しての選択性が低くなり,健全歯質の削除量も多くなる可能性が考えられた。
  • 松原 龍生, 小野 芳明, 長田 久乃, 澤田 牧子, 久保田 知穂, 高木 裕三, 徳本 匠, 佐藤 誠
    2006 年 44 巻 3 号 p. 422-427
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咀嚼機能の正常な発達の判定のためには,咀嚼能力の客観的な評価が必要である。そこで近年成人の咀嚼能率の測定用に開発された色変わりガム(XYLITOL®咀嚼力判定ガム,ロッテ社)を小児に適用する場合の,素材の量および咀嚼検査時間に関して検討を行った。
    4~10歳の小児40名(男17名,女23名:平均6.8±1.8歳)および成人10名(女10名:平均27.8±2,0歳)に色変わりガム1枚量(3.1±0.01g),および1/2枚量(1.6±0.06g)を30秒,1分,1分30秒,2分間自由咀嚼させた。咀嚼終了後,色彩色差計を用いてa*値を計測し,また色調をパッケージに表示されている「カラースケール」と比較し,スケール値を記録した。小児,成人とも1/2枚量,1枚量で咀嚼時間に伴いa*値の増加が認められた。
    小児において,1枚量では全ての咀嚼時間で咀嚼能率との相関が最も高かったと報告されているa*値20には達しなかったが,1/2枚量では咀嚼時間2分間で平均のa*値は21.0±3.67であった。小児の被験者において判定に適さない混和不十分のガムは1枚量では1.5分まで,112枚量では1分までのものに認められた。
    以上の事から色変わりガムの小児への応用に際しては,成人への応用条件とは異なる条件下で測定する必要があると考えられた。
  • 第3報1歳2か月児と2歳6か月児のおしゃぶり使用状況と保護者の意識
    高田 貴奈, 石川 朋穂, 渋谷 泰子, 浅里 仁井, 上美 津子, 柳原 正恵, 足立 マリ子, 佐々 龍二
    2006 年 44 巻 3 号 p. 428-433
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成15年4月から平成16年3月までの期間に,東京都K区の保健所および保健センターの歯科健診に来所した1歳2か月児748名,2歳6か月児459名,計1,207名の幼児の保護者を対象に,おしゃぶりの使用状況について,アンケートによる調査を行い,以下の結論を得た。1.使用実態については,各年齢とも使用経験なし群が最も多く,現在使用群は1歳2か月児で26.9%,2歳6か月児で11.1%であった。2.使い始めたきっかけは,“その他”“特に理由はなく使い始めた”が多く,2歳6か月児の晩期使用群では,指しゃぶり防止と答えた者も多かった。3.使用継続に関する保護者の考えは,1歳2か月児は“そろそろやめさせたい”と“もう少し様子をみていきたい”が多かったのに対し,2歳6か月児では“そろそろやめさせたい”が最も多かった。4.使用しなかった理由は,“与えてみたが子どもが使わなかった”と回答した者が最も多かった。5.やめた時期とやめるにあたってのきっかけは,やめた時期があがると,“子どもがあきて使わなくなった”と回答した者は減少し,逆に“やめさせた”と回答した者が増加した。6.やめるにあたっての子どもの反応は,やめた時期があがるにつれて,“すぐにやめた”と回答した者は減少し,“少し時問がかかったが使わなくなった”と回答した者が増加した。7.使用状況とアレルギーの有無は,“ない”と回答した者がほとんどであり,各年齢ともおしゃぶり使用状況による違いは認められなかった。
  • 第4報2歳6か月児のおしゃぶりの使用状況と咬合関係について
    石川 朋穂, 高田 貴奈, 渋谷 泰子, 浅里 仁, 井上 美津子, 柳原 正恵, 足立 マリ子, 佐々 龍二
    2006 年 44 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成15年4月から平成16年3月までの期間に,東京都K区の保健所および保健センターの歯科健診に来所した2歳6か月児459名について咬合状態の診査を行い,同時に保護者を対象におしゃぶりの使用状況についてアンケートによる調査を行い,以下の結論を得た。
    1.おしゃぶりの現在使用群では,使用経験なし群に比較して開咬の者の割合が明らかに高かった。
    2.おしゃぶりを過去に使用していた群では,開咬の割合は少なかった。
    3.おしゃぶりの使用開始時期にかかわらず,使用期間が長期間に及ぶほど開咬になる割合も高くなった。
    4.おしゃぶりの現在使用群では,使用経験なし群に比較して習癖を持っている者の割合が少なかった。
    5.おしゃぶりとしゃぶり癖の両方を行っている者はほとんどいなかった。
    6.おしゃぶりのみを現在使用している群は,しゃぶり癖のみを行っている群に比べ,開咬になる割合が高く,その範囲は広範囲に及び,程度も大きくなっていた。
  • 後継永久歯の萌出時期に及ぼす影響
    池田 訓子, 島田 幸恵, 福本 明倫, 東 令, 鈴木 友子, 向山 賢一郎, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2006 年 44 巻 3 号 p. 439-443
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成4年から平成12年までに昭和大学歯科病院小児歯科を受診し,外傷により上顎乳中切歯を受傷後,中切歯萌出まで経過観察を行った100名157歯を対象に乳歯外傷が後継永久歯の萌出時期に与える影響について調査し検討を行った。下顎側切歯および第一大臼歯の萌出時期を参考に,萌出遅延,早期萌出の基有無を判定した。
    その結果,男女比は1.7:1と男児が多く,平均年齢は3歳3か月,年齢分布は2~4歳が多かった。低年齢の対象が少ないのは,後継永久歯萌出までの期間が長期に亘るため,症状にかかわらず長期の経過観察が必要であることが十分理解されず,経過観察期間中に保護者の乳歯の外傷歯が後継永久歯に与える影響についての意識が低下し,来院を中断することが多いことに起因すると推察された。
    受傷側の上顎永久中切歯の萌出時期異常は7.6%に認められ,早期萌出よりも萌出遅延が多く認められた。また,低年齢の方が萌出時期異常を多く認め,特に,1歳児は18.2%に認められた。受傷状態別では,埋入した症例の20%に萌出時期異常を認めた。エナメル質破折の1歯にも萌出遅延が認められた。
    以上より,受傷状態に限らず,乳歯外傷は受傷歯の後継永久歯萌出まで定期管理を十分行う必要性が示唆された。
  • 広瀬 弥奈, 松本 大輔, 八幡 祥子, 前山 善彦, 青山 有子, 島袋 鎮太郎, 千秋 宜之, 松下 標, 倉重 多栄, 福田 敦史, ...
    2006 年 44 巻 3 号 p. 444-452
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    改革した小児歯科学基礎実習の点検評価を,本学歯学部4年生の96名に対しアンケート方式にて実施した。アンケートの内容は,実習に対する理解度,満足度についてで,「全くできなかった,あまりできなかった,どちらでもない,できた,よくできた」の5段階による無記名回答方式で調査した。その結果,予習の段階で実習書の内容について理解できた者は,フッ化物応用法,ラバーダム防湿法,窩溝填塞法,乳歯の歯髄切断法,既製乳歯冠修復法,治療計画の立案(口腔疾患の予防)の各実習項目とも約80%を占め,多くの者がこれから行う内容についてある程度理解しながら実習を行っていると判断された。
    また,本実習を通して理解を深めることのできた者は,いずれの課題も80%以上を占め,本実習によりある程度体得できたものと思われた。テユートリアル実習においては80%以上の者が本実習に積極的に参加したと自己評価していたが,あまり参加できなかった者も16%認められ,再検討が必要であると思われた。マネキンを実患者と想定した施術時態度・技能の修得については,マネキンへの話しかけを有益でないと答えた者が約30%認められたことから,学生の意識改革を惹起するような対策・対応が必要と思われた。
  • 平野 慶子, 尾形 小霧, 木村 有香, 下野 勉, 徳永 忠之, 山岸 敦, 押野 一志
    2006 年 44 巻 3 号 p. 453-459
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    矯正治療でマルチブラケット装着を行い,多数の齲蝕を生じた初診時年齢16歳の患児に対し470日間口腔衛生指導ならびに経過観察を行ったところ,以下の知見を得た。
    1.齲蝕活動性試験カリオスタット値は2.5よりほぼ変化を認めなかった。
    2. 470日中17回来院し,実質欠損を認めた部位においては,充填処置を行ない,初期齲蝕(白斑)の部位はフッ化物配合2剤型歯磨剤の供与とブラッシング指導,フッ化物塗布を行った。蛍光反射装置を使用して,上顎の左右中切歯を観察し,脱灰部位の治療の評価を行ったところ歯全体の面積に対する初期齲蝕の面積は,経時的に低下した。初期齲蝕部位の輝度については上顎左右中切歯ともに初回で最低値であり,治療開始後247日で最高値となり,最終的にはやや最高値より低い値となった。
    3.肉眼的には歯頸部を中心に白斑の改善が認められたが,蛍光反射装置における評価ではより明瞭に再石灰化が推察された。
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