抄録
骨組織の機能を回復する技術は,高齢社会を迎えた我が国においてさらに需要が高まる分野であり,小児歯科領域においては外傷により失われた骨の再生あるいは外胚葉異形成症の骨の増生などにおいて需要が高まるものが考えられる。現在まで様々な生体活性を示すアパタイトなどのセラミックの応用が報告されている。骨形成を誘導する特性を発現する新規セラミック材料の作製を目指して,微細気孔を有するアパタイト焼結体の合成を行った。骨格には生体吸収性セラミックスであるアパタイトを選択しその微細気孔体を合成し,さらに生体活性を示すβ-TCP,炭酸カルシウムを含有させたアパタイト焼結体を作製した。そしてより速くアパタイト焼結体が足場(スキャフォード)として骨と結合しやすくなる条件を模索するために,作製したアパタイト焼結体の生体活性セラミックスとしての生体内での挙動を動物実験によって観察した。比較検討の結果β-TCPを含有した焼結体が骨を最も速く誘導する結果となった。