小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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44 巻 , 4 号
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  • 大東 希好, 下岡 正八, 朝田 芳信, 土屋 友幸, 前田 隆秀, 渡部 茂, 宮沢 裕夫, 大東 美穂, 原 直仁, 園本 美惠, 人見 ...
    2006 年 44 巻 4 号 p. 493-504
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    有限責任中間法人日本小児歯科学会認定小児歯科専門医(以下専門医という)制度について全会員{(4,298名)の内歯科医師(4,160名)}に,その認識度を把握することを目的としアンケートを行った。そして,その回答者の総数は1,140名(回収率26.5%)で,その内1,129名が歯科医師であった。そこで,この調査対象を1,129名の歯科医師とし,アンケートの集計・検討を行った結果,以下のことが明らかとなった。
    1.日本小児歯科学会認定医取得者(以下認定医という)(801名)の内233名(29.1%)は,専門医を早急に取得することを希望した。
    2.認定医非保有者(320名)の内専門医受験資格を得れば,直ちに専門医試験を受験すると258名(80.6%)が答えた。ただし,調査対象(1,129名)の内から専門医資格試験実施は厳しく行うようにとの要望が数多くみられた。
    3.専門医制度本格実施行後,認定医制度はどうあるべきかの質問に対して,認定医制度を廃止すべしと回答した者は1,129名の内255名(22.6%)であった。
    4.認定医801名の内116名(14.5%)は専門医を取得せず,認定医の更新のみの継続を希望した。
    5.回答者(1,129名)の年齢が高くなるにしたがって,小児患者(18歳未満)の占める割合は減少する傾向があった。しかしながら,逆に回答者の34.7%を占める50~69歳の回答者(392名)の約1/4(112名)(1,129名の内約10%)は小児患者の占める割合が90%を超えていた。これは,二極化の傾向ではないかと考えられる。
    このアンケート結果から専門医は,速やかに優れた専門分野の情報を得ることが可能になるが,個人の医療環境などの情報を逆に提供しなければならないなどの義務が生じる。そして,自己の責任の重さを痛感していることが示唆された。厚生労働省が広告可能な団体として許可すると,専門医各自がその責任の重さを自覚しなければならなくなっていくだろう。
  • 鬼頭 秀明, 渡辺 宣子, 鬼頭 信秀
    2006 年 44 巻 4 号 p. 505-510
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Nd:YAGレーザーによるエナメル質耐酸性効果を付与する際レーザー光反応剤として従来から用いられる黒色吸光剤使用時とHYc(タンニンセメント)代用時におけるエナメル質表面の変性像についてSEM像観察による比較を行った。
    その結果の要約は下記の通りであった。
    1.全ての照射条件下において黒色吸光剤使用時とHYc代用時では,明らかにエナメル質表層の変性状況が異なっていた。
    2.黒色吸光剤使用時において,エナメル質耐酸性効果をもたらす溶岩様構造や亀裂の形成がレーザー照射部一帯に認められたのに対して,HYc代用時ではそれら変性がごく一部に認められたのみであった。
    3.本来裏層および仮封が使用目的であるHYcをNd:YAGレーザー吸光剤としての代用した場合,黒色吸光剤と同等度の変性を与えるには至らないことが明白であった。
  • 浜田 作光, 小川 優美子, 山口 三菜, 竹越 史子, 大山 洋, 進士 久明
    2006 年 44 巻 4 号 p. 511-517
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科大学附属病院小児歯科は高度な専門性を要求され,専門医の育成が必要となる。社会の求める医療と相応する歯科医師の輩出が望まれる。地域から望まれる大学病院小児歯科外来を構築する目的で1995年から神奈川歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した初診患者の実態を調査し,今後の診療および教育方針を摸索した。
    1.毎年の初診患者来院数は,ここ数年増加傾向であった。年少人口の減少と来院患者数とは必ずしも一致するものでなかった。
    2.初診時年齢は,2および3歳をピークとした傾向であった。
    3.最も多い主訴は齲蝕であったが,年ごとに減少傾向を示した。しかし,健診・予防,外傷,歯並びを主訴とする者は増加していた。
    4.各年齢の主訴は,0歳と1歳児では外傷が,2歳児では診査・予防が最も多く,他の年齢では,齲蝕が最も多かった。
    5.横須賀市および横浜市からの来院患者が主であった。徒歩で来院する患者より,交通機関を利用して来院する患者が多かった。年少人口の減少は避けられない状況にあるが,第三次医療機関として質を維持し,教育機関として患者数を保つ必要がある。著者らは地域医療機関と連携した量の確保と臨床実習,研修医教育および再教育機関としての質を保つことが大切であると考えた。
  • 赤坂 徹, 時安 喜彦, 小松 太一, 渡部 茂, 宮城 敦
    2006 年 44 巻 4 号 p. 518-525
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,小児歯科の領域でも増加している顎関節症やブラキシズムといった歯科疾患は,咀嚼や顎運動との関連が示唆されているが成因は明らかにされていない。これらの成因および咀嚼運動のメカニズムを明らかにすることを目的に歯根膜の感覚を支配する三叉神経中脳路核ニューロンを歯根膜側から逆行性に蛍光色素で染色する方法についての検討を行った。逆行性に染色されたニューロン細胞体を観察したところ以下の結果が得られた。
    1. 2%デキストラン・テトラメチルローダミンを使用した逆行性の染色では,いずれの時間経過群においても逆行性に染色された細胞体は認められなかった。また,10%デキストラン・テトラメチルローダミンを使用した逆行性の染色では,2日経過群12匹中1匹に1個の逆行性に染色された細胞体が認められた。
    2. 2%デキストラン・ローダミンBを使用した逆行性の染色では,いずれの時間経過群においても逆行性に染色された細胞体は認められなかった。
    3. 10%デキストラン・ローダミンBを使用した逆行性の染色では,1日経過群では逆行性に染色された細胞体は認められなかったが,2日経過群では12匹中2匹にそれぞれ1個ずつ,計2個の細胞体が認められた。また,4日経過群では12匹中4匹に計6個の細胞体が認められた。
    4. 20%デキストラン・ローダミンBを使用して逆行性の染色を行った。その結果,4日経過群12匹中2匹にそれぞれ1個ずつ計2個の細胞体が認められた。
    これらの結果から,下顎臼歯歯根膜感覚を支配する三叉神経中脳路核ニューロン細胞体を歯根膜側から逆行性に染色することは可能であることが示された。しかし,逆行性に染色されるニューロン細胞体の数は少なく,染色される細胞の確度が低いことから方法や注入部位について検討を加えることが必要であると考えられた。
  • 芳野 素子, 荻原 勝, 遠藤 敏哉, 小林 義樹, 青柳 真紀子, 下岡 正八
    2006 年 44 巻 4 号 p. 526-533
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    混合歯列期の不正咬合は,小児歯科と矯正歯科の連携診療が必要である。小児歯科と矯正歯科が合理的,機能的に統合されれば,小児から成人,さらに高齢者に至る同一の時間軸上で,診察・診断・治療が可能である。そこで,平成3年度小児歯科・矯正歯科(旧診療体制)と平成13年度小児矯正歯科(新診療体制)を受診した不正咬合治療希望患者の動態を調査し,以下の結論を得た。
    1.初診患者総数に対する不正咬合治療希望患者数は,平成3年度と平成13年度では変化がなかった。
    2.不正咬合治療希望患者の平均初診年齢は,平成3年度小児歯科が6歳7か月,矯正歯科が14歳5か月,両科併せて13歳4か月,平成13年度小児矯正歯科が15歳5か月であった。
    3.平成13年度は混合歯列期の不正咬合治療希望患者の占める割合が高くなった。
    4.平成13年度不正咬合治療希望患者は,叢生が最も多く,反対咬合,上顎前突の順であり,様々な不正咬合が混在するいわゆる都市型分布を呈していた。
    5.平成3年度小児歯科あるいは矯正歯科を受診した不正咬合治療希望患者の初期装置は,マルチブラケット装置(小臼歯抜歯)が最も多く,平成13年度小児矯正歯科のそれは,マルチブラケット装置(小臼歯非抜歯)が最も多かった。
    本調査結果から,現在の小児矯正歯科では,旧診療体制で成し得なかった成長発育という時間軸上での小児歯科と矯正歯科の連携治療がスムーズに実施されていることが示唆された。
  • 石川 雅章, 岡村 航也, 高橋 昌司, 工藤 みふね, 五十川 伸崇, 高木 裕三
    2006 年 44 巻 4 号 p. 534-540
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    舌習癖を有する小児において,安静時舌位の前歯部咬合関係への影響を,嚥下時舌位とともに検討した。前歯部不正咬合を有する混合歯列期小児24名を嚥下時舌突出癖の有無および咬合型により,習癖群(開咬型7名,前歯部反対咬合型6名),非習癖群(前歯部反対咬合型3名,I級叢生型8名)の2群4型に分け,嚥下時から安静時までの舌運動を超音波診断装置のBモードにより収録した。嚥下時および安静時の矢状断舌背形状の平坦度を評価するために,超音波診断装置で安定的に観察しうる舌背中央部を近遠心的に4等分し,各区間の始点と終点間の座標値で決定されるタンジェントを算出した。その絶対値を平均化したものをCTDと定義し,側面頭部エックス線規格写真より求められるオーバーバイト量との関連を分析した。
    嚥下時CTDとともに,安静時CTDとオーバーバイト量の間で有意な相関が得られ,かつ嚥下時CTDと安静時CTD間に有意な相関がみられなかったことから,安静時舌位は嚥下時舌位に加えて前歯部咬合関係に影響を与えている可能性が示唆された。また,咬合型別に観察すると,習癖群開咬型のCTDが最も小さく,分散も非習癖群より有意に小さいことから,習癖群開咬型の安静時舌背はおおむね平坦であり,特徴的な形状を有すると考えられた。
  • 宮新 美智世, 塚本 淳子, 松村 木綿子, 篠岡 希, 西川 和子, 金沢 英恵, 石畝 かをり, 工藤 みふね, 石川 雅章, 高木 裕 ...
    2006 年 44 巻 4 号 p. 541-547
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の外傷を受けた幼児における電気診の有用性を調査することを目的として,乳前歯の外傷を主訴として受診した小児のうち,長期的な経過観察が可能でかつ電気診を受けた患児77名の,外傷を受けた乳前歯152歯について,電気診結果と臨床所見の関係を検討した。被験児の受傷時の年齢は0~6歳で,受傷状態は,亜脱臼と埋入が78%を占め,残りは転位・傾斜,破折,歯槽骨骨折であった。対照歯は,年齢2歳以上の患児の非受傷歯63歯で,これらのうち反応陽性を示したのは94%であった。
    総合的な診査の結果,治療を必要とする歯髄壊死や根尖性歯周炎と診断されたのは,受傷歯の19.7%であった。反応の様相を亜脱臼歯と埋入歯において比較したところ,亜脱臼歯は埋入歯よりも反応陽性が早期に,高率で観察された。反応陽性であった亜脱臼歯はほとんどが2年以内に検出されていた。埋入歯では,歯髄壊死や根尖性歯周炎の発現率が比較的高く,受傷後3年を経ても検出された点が特徴であった。
    また,前歯の生理的歯根吸収が比較的軽度である5歳以下の幼児に実施した電気診の結果をもとに,反応陰性を示した歯に占める歯髄壊死・根尖性歯周炎と診断された歯の割合をみたところ,60%であった。反応陰性の歯はこの他,歯髄の石灰化が起きた歯や,健全対照歯も反応を示さなかった被験児の受傷歯などであった。反応陽性を示した歯はすべて臨床所見に異常がなく,歯髄壊死・根尖性歯周炎と診断された歯はなかった。
  • 荒井 清司, 松根 健介, 岡本 春憲, 蛭川 沙織, 倉持 治彦, 木場 秀夫, 久保山 昇, 西山 典宏, 根本 君也, 前田 隆秀
    2006 年 44 巻 4 号 p. 548-555
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    骨組織の機能を回復する技術は,高齢社会を迎えた我が国においてさらに需要が高まる分野であり,小児歯科領域においては外傷により失われた骨の再生あるいは外胚葉異形成症の骨の増生などにおいて需要が高まるものが考えられる。現在まで様々な生体活性を示すアパタイトなどのセラミックの応用が報告されている。骨形成を誘導する特性を発現する新規セラミック材料の作製を目指して,微細気孔を有するアパタイト焼結体の合成を行った。骨格には生体吸収性セラミックスであるアパタイトを選択しその微細気孔体を合成し,さらに生体活性を示すβ-TCP,炭酸カルシウムを含有させたアパタイト焼結体を作製した。そしてより速くアパタイト焼結体が足場(スキャフォード)として骨と結合しやすくなる条件を模索するために,作製したアパタイト焼結体の生体活性セラミックスとしての生体内での挙動を動物実験によって観察した。比較検討の結果β-TCPを含有した焼結体が骨を最も速く誘導する結果となった。
  • 藤田 慎一, 橋本 正則, 加我 正行, 八若 保孝
    2006 年 44 巻 4 号 p. 556-566
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,操作ステップの簡略化を目的としたワンボトルセルフエッチングシステムが開発され,臨床で広く使用されている。そこで本研究では,5種類のワンボトル接着性レジンシステム(セルフエッチング)の象牙質接着強さを微小引張接着性試験で比較し,破断面様相を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し,硝酸銀染色による接着界面のナノリーケージ解析を透過型電子顕微鏡(TEM)にて行い,接着性能を評価した。接着強さはすべてのシステムにおいて50MPa以下であったことから従来型のシステムと比較して接着強さの向上は認められなかった。
    SEMおよびTEM観察の結果から,ワンボトルレジンシステムの樹脂含浸層はスミア層を包含したコラーゲン線維,象牙質硬組織,レジンによる複合体により形成されているためナノリーケージは比較的少ない特徴を有していた。しかし,多量に含有する水や溶媒の影響によりボンディングレジン層に顕著なナノリーケージ,ウォーターツリーおよび水分小滴が形成されていた。ボンディングレジン層のリーケージ形成の原因はボンディング剤に含有するモノマーと水の相分離および接着時の象牙細管からレジンへの水分吸収によって起こると考えられた。これらナノリーケージは接着界面内における水分浸入の経路となり,接着構造の長期耐久性低下の要因となることから,レジン成分の疎水性を高める必要性が示唆された。
  • 石井 敏美, 松村 誠士, 西村 美智子, Omar Rodis, 平川 貴之, 保富 貞宏, 下野 勉, 和田 精久
    2006 年 44 巻 4 号 p. 567-572
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,酸化チタン(TiO2)は化学的に安定した性質と光触媒という特徴的な機能から有機物分解,脱臭,大気浄化,浄水,防汚など様々な分野で実用化が進んでおり,歯科領域においても実用展開が期待される。そこで本研究では,半導体TiO2の光触媒反応に着目してS. mutansに対する酸産成抑制及び抗菌効果について検討を行った。また,太陽電池付与による光触媒反応の増強効果についても検討を行った。
    1. 48時間後のカリオスタット液体培地の最終pHは対照群が4.6~4.7(CAT値2.0)に低下したのに対し,TiO2+電池群はpH6.5(CAT値0)であり,TiO2光触媒反応によるS. mutansの酸産成抑制効果が認められた。
    2. 48時間後のカリオスタット液体培地中の生菌数はTiO2+電池群において1.1×102CFU/mlであった。対照群(S群と電極なし群において10×105CFU/ml,S+電池群において9.0×104CFU/ml,TiO2群において4.3×104CFU/ml)と比較して最も低く,かつ初期から生菌数が減少し,TiO2光触媒反応によるS. mutansの抗菌効果が認められた。
    3.TiO2群およびTiO2+電池群において,カリオスタット寒天培地にpH低下抑制及び抗菌領域が観察された。また,光触媒効果はTiO2電極棒接触部位から周囲にも拡大することが示された。
    4.太陽電池を付与することにより,TiO2単独での光触媒効果が増強されることが示された。
  • 平尾 彰規, 野崎 中成, 大東 道治
    2006 年 44 巻 4 号 p. 573-580
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療において診療環境や痛みなど種々の刺激で,患者に恐怖や不安が生じ,ストレスの要因となる。このストレスがいわゆる受診回避や早期治療の機会を失う原因となる。歯科治療を適切に遂行するためには,患者のストレスを的確に評価することが重要な課題である。唾液α-アミラーゼは,精神的ストレスの指標として近年注目されている。本研究では,小児患者の歯科治療時におけるストレスを的確に評価する方法として唾液α-アミラーゼについて検討した。治療の前後における唾液α-アミラーゼ活性を定量し,酵素活性の変動と歯科治療内容の対比から,唾液α-アミラーゼ活性の測定によってどの程度ストレスを評価できるか試みた。小児において唾液α-アミラーゼ活性を定量することは可能であったが,個体間のばらつきが顕著であった。対象の75%が処置後に酵素活性が有意に増加していた。特に,観血的処置後の酵素活性値の有意な上昇が認められ,治療内容の重篤度とストレス増大との関連が示唆された。以上のことから,唾液α-アミラーゼ活性の変動は,小児の歯科治療における治療の重篤度に応じて変動するストレスを捕捉する指標になることが示された。小児の歯科治療におけるストレスの評価方法として,唾液α-アミラーゼ活性の定量は簡便かつ非侵襲的で有用であると考えられた。
  • 高梨 登, 寺本 幸代, 水谷 智宏, 坂井 俊弘, 望月 兵衛
    2006 年 44 巻 4 号 p. 581-590
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯が喪失する原因の多くは齲蝕と歯周疾患であり,これらの疾患は個々の不規則な生活から起こる生活習慣病とされている。その根源は小児期にあるとも言われており,疾患抑制に向けてこの時期の口腔の健康に対する知識の向上,適切な指導による健康観の育成と健康行動の確立が不可欠である。
    著者らは小児期の口腔衛生指導のための的確な指標を得ることを目的に東京都練馬区立小学校13校の5年生計780名を対象に定期健康診断,齲蝕活動1生試験(カリオスタット®),アンケートを実施し,生活習慣の相違が齲蝕の発生にどの様に関連があるのか,さらには継続的に行っている齲蝕活動性試験(カリオスタット®)が生活習慣とどのように関連しているのか分析を行い,検討を行った。その結果
    1.アンケート分析結果と齲蝕の罹患状況と関連の認められた要因は,「歯磨きの習慣」「歯ブラシの交換時期」「歯磨き後の飲食」「朝食の規則性」「齲蝕予防」「歯肉の状態」「カリオスタット(R)」であった。
    2.カリオスタット®と関連の認められた項目は,「齲蝕の有無」「歯磨きの習慣」「歯磨きの回数」「夕食後の飲食」「間食の量」「間食の時間帯」「ジュース類の摂取」「口臭の自己認識」であった。
  • 伊藤 綾子, 倉重 多栄, 佐藤 夕紀, 藤本 正幸, 西平 守昭, 松下 標, 青山 有子, 平 博彦, 丹下 貴司, 五十嵐 清治
    2006 年 44 巻 4 号 p. 591-597
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    含歯性嚢胞は歯原性嚢胞では歯根嚢胞に次いで多く見られる。一般的には未萌出または埋伏永久歯の歯冠に由来して発生するが,原因埋伏歯は正常歯胚であることがほとんどで,過剰歯に由来する含歯性嚢胞は比較的少ない。今回,我々は全身的問題から抜去を行わず経過観察していた上顎正中部の逆性埋伏過剰歯が嚢胞化し,定期検診の中断期間に急速に増大し,顔貌の腫脹まで来した含歯性嚢胞の症例を経験したので報告する。
    症例は13歳の男児で,既往歴として生後間もなくWilson-Mikity症候群の診断にて入院加療を受け,その後にてんかん,脳性麻痺,および精神発達遅滞と診断された。患児の埋伏過剰歯は当科で10歳時に発見されたが,全身状態が不良のため抜去を行わず経過観察を行っていた。その後,定期検診受診が途絶え1年3か月後に,過去数か月間で徐々に上顎右側前歯唇側歯槽部が腫脹してきたことを主訴に再来初診となった。口腔内診査では上顎左側前歯部歯槽部に青紫色の腫脹を認め羊皮紙様感を触知した。エックス線診査では上顎前歯部に1本の逆性埋伏過剰歯を含む単房性の境界明瞭な透過像を認めた。局所麻酔下に嚢胞と埋伏過剰歯の摘出術を施行したが,術後17日目に術部感染を来したため抗菌薬投与と局部の洗浄を継続し消炎・治癒に至った。術後2か月の経過は良好である。
    本例のように何らかの理由により埋伏過剰歯抜去が困難な場合は,その変化を早期に発見するために定期的,かつ確実な画像診断を含む精査が必須であると考えられた。
  • 丸山 明華, 松根 健介, 荒井 清司, 田中 節子, 渋谷 功, 前田 隆秀
    2006 年 44 巻 4 号 p. 598-603
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    混合歯列期における低位乳歯は正常交換期に脱落することができず,周囲の永久歯の萌出にともなう咬合位についてゆけずに,結果的に低位となることが報告されている。今回著者らは,後継永久歯の欠如を伴い,低位およびアンキローシスをおこした下顎両側第二乳臼歯の晩期残存を経験した。
    症例は,低位乳歯の晩期残存により骨レベルの低下が引き起こされたと考えられた。低位乳歯の治療方針は,患者の年齢,発現歯数,萌出状態等を考慮しながら対処し,早期抜歯による保隙や後継歯の萌出誘導を試み,経年的に長期観察していく必要がある。しかしながら,後継永久歯の欠如を伴う低位乳歯はスペースなどの確保などの観点から可能な限り保存するべきであるが,隣在歯の萌出障害を起こすことが考えられる場合は早期に抜歯を行う事が大切と考えられる。小児歯科臨床において低位乳歯を抜歯した際,骨頂レベルの回復が大きな課題であるが,本症例の長期観察により,抜歯した低位乳歯空隙部を後継永久1歯の咬合誘導により閉鎖することと,定期的なプライマリーケアを行うことにより骨レベルが回復にすることが示唆された。
  • 旭 吉直, 田村 希世子, 大河内 昌子, 大道 士郎
    2006 年 44 巻 4 号 p. 604-608
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重症の脳性麻痺(以下CP)児(者)においては,加齢とともに呼吸障害を悪化させてしまう者が多い。一方,全身麻酔薬の効力は患者の年齢上昇とともに増していく。したがって,CP児(者)に全身麻酔薬を投与して歯科治療を行う場合,呼吸に関しては年長者ほど強い影響を受けることも考えられる。そこで,全身麻酔薬投与中のCP児(者)の呼吸障害と年齢との関係を調べるために,ボバース記念病院において29人のCP児(者)の歯科治療に際して行われた気管挿管なしのプロポフォールによる行動調整法について調査した。その結果,
    1.プロポフォールの投与量と至適維持量に関して,年齢との間に統計学上有意な関係は認められなかった。
    2.体動の発生率と年齢層の間には有意な関係は認められなかった。
    3.年長者の方が著明に高い確率で気道閉塞を発生していた。
  • 鈴木 久恵, 藤巻 佐弥香, 兒野 朋子, 山村 麻里子, 坂部 留可, 坂部 潤, 新国 七生子, 中島 一郎, 江島 堅一郎, 橋本 光 ...
    2006 年 44 巻 4 号 p. 609-616
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,小児歯科領域での歯科用小照射野エックス線CT(歯科用CT)の有用性を明らかにすることを目的とし,日本大学歯学部付属歯科病院小児歯科における歯科用CTの撮影状況について調査・検討した。調査対象は,1998年1月から2003年12月までの約6年間に,歯科用CTであるOrtho-CTおよび3DX Multi Image Micro CT®(3 DX)を用いて,日本大学歯学部付属歯科病院小児歯科より同歯科放射線科に依頼し撮影を行った455件とし,歯科用CT撮影件数および全エックス線撮影件数に対する歯科用CT撮影件数の割合,歯科用CT撮影における疾患別の内訳,年ごとの歯科用CT撮影件数における疾患別の内訳の推移,歯科用CT撮影時の年齢ごとの撮影件数について調査を行った。その結果,歯科用CT撮影件数は,年々増加し2001年をピークに若干減少した。歯科用CT撮影における疾患別の内訳では,過剰埋伏歯が51.0%,萌出異常が26.8%,顎関節撮影が9.2%の順で多かった。歯科用CT撮影時の平均年齢は8歳4か月であり,最低年齢は2歳10か月であった。撮影の最も頻度が高い年齢層は7歳~9歳であった。
    撮影された疾患は多様性に富んでいた。特に撮影量の多かった「過剰埋伏歯」,「萌出異常」,「顎関節撮影」において,他のエックス線撮影画像との比較からも有用性が認められた。
    以上撮影状況の調査より,歯科用CTの特長を生かした撮影実績が明らかになり,小児歯科領域における歯科用CTによる診査・診断の有効性が示されたと考える。
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