有限責任中間法人日本小児歯科学会認定小児歯科専門医(以下専門医という)制度について全会員{(4,298名)の内歯科医師(4,160名)}に,その認識度を把握することを目的としアンケートを行った。そして,その回答者の総数は1,140名(回収率26.5%)で,その内1,129名が歯科医師であった。そこで,この調査対象を1,129名の歯科医師とし,アンケートの集計・検討を行った結果,以下のことが明らかとなった。
1.日本小児歯科学会認定医取得者(以下認定医という)(801名)の内233名(29.1%)は,専門医を早急に取得することを希望した。
2.認定医非保有者(320名)の内専門医受験資格を得れば,直ちに専門医試験を受験すると258名(80.6%)が答えた。ただし,調査対象(1,129名)の内から専門医資格試験実施は厳しく行うようにとの要望が数多くみられた。
3.専門医制度本格実施行後,認定医制度はどうあるべきかの質問に対して,認定医制度を廃止すべしと回答した者は1,129名の内255名(22.6%)であった。
4.認定医801名の内116名(14.5%)は専門医を取得せず,認定医の更新のみの継続を希望した。
5.回答者(1,129名)の年齢が高くなるにしたがって,小児患者(18歳未満)の占める割合は減少する傾向があった。しかしながら,逆に回答者の34.7%を占める50~69歳の回答者(392名)の約1/4(112名)(1,129名の内約10%)は小児患者の占める割合が90%を超えていた。これは,二極化の傾向ではないかと考えられる。
このアンケート結果から専門医は,速やかに優れた専門分野の情報を得ることが可能になるが,個人の医療環境などの情報を逆に提供しなければならないなどの義務が生じる。そして,自己の責任の重さを痛感していることが示唆された。厚生労働省が広告可能な団体として許可すると,専門医各自がその責任の重さを自覚しなければならなくなっていくだろう。
抄録全体を表示